リチウムイオン電池開発研究の業績で昨年のノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんですが、「ゼロエミッション国際共同研究センター」のセンター長に就任するそうです。
www.aist.go.jp「ゼロエミッション」と銘打った所にいかにも胡散臭いものを感じますが、その研究内容は次のようなものです。
同研究センターでは、G20を中心とした世界有数の国立研究機関等と共同で、革新的技術に関する研究(再生可能エネルギー、蓄電池、水素、CO2分離・利用、人工光合成等)を行い、ゼロエミッション社会を実現する革新的環境イノベーションの創出を目指します。
エミッションは「排出」ということですので、廃棄物などを出さないということですが、特に「二酸化炭素」を排出しないという意味が最近では強調されているようです。
太陽光や風力と言った自然エネルギーは、それ自体は確かに太陽からの熱が形を変えているのですが、それを人間が使える形にしようとする時には何らかの機械装置が必要となり、それを作り出す過程で必ずエネルギーを大量に使用しており、現状では多くの二酸化炭素を排出しています。
そこを反省しない限りゼロ・エミッションどころではないのですが、とにかく何か金儲けの種を作りたいだけなのでしょう。
しかし、吉野さんもリチウムイオン電池を作り出してモバイル社会の発展に大きく寄与したのは間違いなく、ノーベル賞受賞というのも充分にその業績にふさわしいものと思いますが、受賞講演で環境問題に言及したということで違和感を感じていました。
モバイルバッテリーとしてのリチウムイオン電池は、その可搬性という極めて高い付加価値のためには、製造コストやエネルギーコストなどは無視しても元が取れると言うべきものであり、環境価値とは相容れない性格のものです。
エネルギーコスト的に成立するバッテリーなど、極めて難しいものと思います。
今回のセンター長就任も、もちろんご自分で希望したわけではないと思いますが、それを受けたことで同じ穴のムジナとなった感があります。