爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より「涅槃状態に入った安倍政権」

涅槃(ねはん、ニルヴァーナ)とは、仏教で言う、煩悩を超越し悟りの境地に入った状態のことです。

ただし、本当に悟って煩悩を消滅させたのなら良いのでしょうが、どんなにひどい状態であっても「自分はこれで良いのだ」と自分で自分に言い聞かせ、それ以上のことを求めず「あきらめの境地」に入り込んでしまうということもあり得ます。

 

もちろん、内田さんの言う「安倍政権」の状況は、本物の涅槃ではなく偽りの涅槃であることは当然ですが。

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内田さんが昨年とある大学で講演した内容が載せられているのですが、安倍政権の性格について、極めて端的に核心に触れるものと言えます。

 

やれることは外交的には全面的な対米従属、アメリカの企業に対する市場開放と、日本の公共財の切り売り。
 とりあえず、それさえしておけば政権は延命できる。
 とにかく「やってはいけないこと」だけはわかっている。
 それは鳩山政権がやったことです。
「国土を返してくれ、国家主権を返してくれ」ということはおくびに出してもいけない。それを言った瞬間に政権が崩壊することだけはわかっている。だから、対米交渉は一切何にもしない。全部アメリカの言う通りにするということだけが決まっている。

まさにこの通りのことをしています。

アメリカの言うことは何でも受け入れる。それが分かっているのでアメリカも安倍政権の延命を許しているというものです。

 

そして、国土の返還、国家主権の返還も不可能だから諦めるというのではなく、「元々何も要求していなかったから、すでに求めるものは何でも揃っている」と言い張り、「だからもはや何も求めるものはない」と考えるようになった。

 

それが、日本全国の「涅槃状態」だということです。

このところ、やけに「日本すごい」というTV番組や週刊誌記事が目につくと思っていましたが、実はこれが「国民全体涅槃化」の現れだったようです。

もう全部達成し終えた。国土も回復したし、国権も奪還した。だから、世界中から日本は尊敬されている。世界中の人が日本をすばらしい国だとあこがれている。「日本すごい」とか、「世界が尊敬する日本」とかいうテレビ番組や書物が溢れていますけれど、これが第五段階の特徴です。

 

これで良いはずはありません。