アメリカ軍がオスプレイを日本に配備するという話が出た当初は大きな反対運動が盛り上がったのですが、その後目立った事故もないためかその運動もすっかり収まってしまったようです。
この本はそれがまだ大きな問題となっていた2012年の出版で、軍事ジャーナリストの石川さん、沖縄県平和委員会の大久保さん、日本平和学会の松竹さんの3人が分担して書いています。
オスプレイはアメリカ軍の海兵隊と空軍が導入している軍用機で、主にCH-46という輸送ヘリコプターの代替として使われるということですが、導入当時によく映像も出ていたように離着陸はヘリコプターのようにプロペラを上に向けたヘリモード、上空ではプロペラがついた翼ごと前に倒していく変換モードを経て飛行機モードで飛ぶという動きをします。
その使い方は、海兵隊の場合は敵地への兵員と物資の輸送を行う「強襲揚陸」という作戦のためのものであり、これらはこれまではヘリコプターで実施されていたものですが、ヘリコプターでは搭載量が少なく速度も遅いという欠点がありました。
そこでオスプレイが開発されたのですが、ヘリコプターCH-46と比べて行動半径が4倍、積載量が3倍、速度が2倍になったということです。
しかし、運転が非常に難しいようでこれまでにも数々の事故を起こしており、ウィドウメーカー(未亡人製造機)と言われていたほどのものですが、その原因はどれも操縦者のミスといわれています。しかし、操縦の微妙なコントロールの難しさはかなりのもののようで、それがなかなか事故の減らない要因であったようです。
アフガニスタンでは空軍のオスプレイが実作戦にも使われていたということですが、そのような軍事作戦の中では操縦の難しさがさらに問題になったようで、事故が相次いだということです。
しかし、その事故もほとんどが操縦ミスとして片付けられているということで、事故原因の調査報告にも何らかの圧力がかけられていると考えられています。
ヘリコプターにはオートローテーション機能というものがあり、上空でエンジンが止まったとしても回転翼が自動で回り続けて無事に着陸できるということですが、オスプレイにはその機能は無く危険であると指摘されているそうです。
飛行機モードでは滑空できるということですが、ヘリモードではどうしようもないとか。
日米の安保体制には反対でなくてもオスプレイに反対の人が多いということです。その後幸いにも事故はないようですが、これからもそれで続いていくでしょうか。