爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「最古の料理」ジャン・ボテロ著

パリ国立高等研究員においてメソポタミア文明の研究に携わっていたポテロさんがその料理についての解読記録をまとめたものです。
7000年前に農耕が始められたというメソポタミアには様々な民族が王朝を作り栄えるようになりましたが、人類初めての記録として楔型文字が作られそれを用いて粘土板のようなものに記録がとられるようになります。それを解読する努力が進められ、かなりの程度まで理解できるようになっています。

その中に、当時の食物や調理について想像できるような記録があったということです。もちろん現在のようなグルメ紀行記録だとか、食卓の風景などといった記録があるわけではなく、あくまでも実務的なものなのですが、宗教上の式典に使われた供物としての食品の数量記録とか、調理担当の役人の覚書とか、調理方法の伝達のための資料などと考えられるものが出てきており、それらにより間接的ながらどのようなものがどう調理されたかということが想像できます。

食べられていたのは主に羊・牛などの肉、鳥、魚、ねぎ類を主とする野菜、小麦で作られるパンなどです。飲み物ではビールが主で、ぶどう酒はかなり新しい時代になってから他の地域から移入されたようです。
調理方法としても、焼くばかりではなくシチューのようなものが作られており、それには肉に加えてポロねぎのようなもので味付けをされており、なかなか複雑な味が知られていたのかもしれません。

もちろん、こういった記録は支配者層のもので庶民が何を食べていたかはよくは分からないのですが、多彩な料理というものがあったのかも知れません。