爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「漢字の魔力」佐々木睦著

中国文学者の首都大学東京の佐々木準教授が、中国での漢字の呪力という面からの扱いというものを紹介されたものです。
日本でも言葉の持つ呪力というのは相当根強いものがありますが、中国においては言葉にとどまらずその表記された文字、漢字というものも呪力があるという伝統が強いようです。
例えば歴代王朝は秦や漢、唐など一文字のものですが、周辺の国々は二文字、三文字であったり、使われている漢字も動物や昆虫を表すものだったりしたと言うのも字の持つ力が理由になっていたそうです。
また中世までの地図には、怪物などが書かれていたものがヨーロッパには多いのですが、中国のものには書かれていません。その代わりに怪異な文字で表現されていたそうです。
皇帝の実名の文字が全部使えなくなるという避諱という風習の話はいろいろと聞いたことがありますが、(史記などにもいろいろの例があります)これも忌み名というものが呪いに使われるということから出たのでしょう。
まあ迷惑な話で、皇帝になりそうな人の実名は全く使われないような漢字にしておくべきだったということですが。

文字だけでなく、文字を書かれた紙も粗末にはできないという惜字ということもあったようで、文字の書かれた紙は燃やして成仏させなければ祟られると考えられたようです。シャツなどにたくさん字を書いてある日本の風習はどうなるのでしょうか。まあ祟られていると言えなくもないようですが。