多くの古代文明で独自の文字が使われていたと言うことが判っています。
「図説」シリーズでは多くの歴史的な事柄について数多くの絵画や写真、地図などで判り易く解説されていますが、これらの古代文字についても同様に図版で見せてくれます。
編著者は古代エジプトが専門の研究者の大城さんですが、各古代文字についてはそれぞれの専門家が執筆しています。
古代文字としてよく知られているのは古代エジプトのヒエログリフ、メソポタミアの楔形文字、中国の甲骨文字といったものでしょうか。
しかし、その他の各地の古代文明でも独自の文字が使われていたところがあるようです。
その後、その文明が滅びるとともに文字についても忘れ去られたところもあり、またアルファベットや漢字が伝わることでそれらに置き換えられてしまったところもあります。
本書ではヒエログリフや楔形文字以外にも各地の古代文字の概要、そしてその解読の経過、そして「実際に読んでみよう」のコーナーという体裁で書かれています。
もちろん、「実際に読んでみよう」などと言っても読めるはずもないのですが。
やはり古代文字が残っているかどうかは、遺跡から文字が書かれているものが発見されているかどうかも大きく影響しているようです。
それが無いと、文字が無かったとも思われますがその後発見されるということもありそうです。
古代文字の中では楔形文字はそれが書かれたものが粘土板が主であったために非常に多くの遺物が残っているという恵まれた状況でした。
甲骨文字もそれが刻まれた骨のかけらが大量に見つかったという経緯はよく知られているところです。
しかし、古代四大文明の一つのインダス文明では、文字の刻まれた遺物として発見されているのがステアタイト(凍石)という石に刻まれた印章が主で、そのためもありまだ解読されていないということです。
他にも、クレタ島から見つかったファイストスの円盤というものに刻まれている文字はクレタ島で使われていた他の文字とは異なるもので、おそらく交易でどこからかもたらされたものと考えられていますが、その場所も判らず使われている言語も判らないために解読も不能というものです。
古代文字でも解読されて内容が検討されているというものが多いのですが、こういった解読不能という文字によりロマンが感じられるのかもしれません。