1992年から2006年までにかけて大著の「ローマ人の物語」全15巻が刊行されましたが、その中間の2000年にそのシリーズの販促本のようなこの本の出版がされています。
古代ローマについては日本人はあまり詳しくは知らず、主に西欧から見た視点をそのまま受け入れたような見方をしていますが、そのままローマ人の物語を読んでいくと本題に進む前に混乱が大きくなるのではと考えられたのでしょうか。日本人が古代ローマについて通常持つような疑問について解説をされています。
例えば、カルタゴとの対決について、ローマ法とはなにか、多神教とはなにか、そして最大の問題はローマはなぜ滅んだのか。まあ詳しくは本編を見てくれということでしょうが、これだけ読んでも相当答えに近づけそうです。
古代ローマの諸問題については、中世から近世ヨーロッパのキリスト教の視点からの色眼鏡を通した見方が普通となっているので、それを正す必要もあるのでしょう。取り払って見てみれば日本人などは極めてローマを理解しやすいのかも知れません。
しかし、ローマはなぜ滅んだのかという疑問については答える以前に、「どうやってあの広大な帝国があれほど長く続けることができたのか」を知る方が重要だというのは間違いないでしょう。