TBSで数々のドキュメンタリーを作成し、テレビマンユニオンを創立して番組制作を続けている今野勉さんの著書です。
主にドキュメンタリーと言われている番組で、「やらせ」が問題となったことについて、その背景などを詳しく解説しています。
ドキュメンタリーと言っても事実のみを記録してあるわけではなく、特にヨーロッパなどでは主張したいことを強調するために「再現」ということを特に断り無く使用することも多いとのことです。
しかし、日本では製作者側の意図以外に場面のあちこちにある「隠れたものの発見」にも価値を見出す傾向があるため、再現手法にもかなり拒絶反応が強いようです。
一概に答えの出せる問題ではないのでしょうが、昔のドキュメンタリーが実際はどこまで「事実」であったのか、知ってみることも無駄ではないでしょう。
なお、この本の最後にも触れてありますが、現在のテレビ番組ではドキュメンタリーではなく、「しかけ」「しつらえ」という手法を使ったバラエティー番組が全盛になっています。「田舎に泊まろう」や「初めてのお使い」というような番組で、素人を使い「しかけ」があることが前提の作り方です。
このような番組では「やらせ」云々と言う批判自体が成り立たなくなっていますが、ドキュメンタリーの主張もなくなってしまいました。