爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FOOCOM.NET専門家コラムより、白井洋一さんの「どうなる日本の有機農業、伸びない栽培面積」

2006年に議員立法で成立した、「有機農業の推進に関する法律」はおおむね5年に一度基本方針を見直すとされており、2014年に第1回の見直して「次の5年で2倍」という目標が掲げられました。

しかし、2013年に2万ヘクタール(0.4%)であった栽培面積は2017年になっても2万3千ヘクタール(0.5%)とほぼ横ばいだっだそうです。

www.foocom.net白井洋一さんは、この問題を見つめ続けており、2014年の際にも記事を書いていますが、今回は「なぜ伸びない」という観点から書かれていました。

 

2018年12月から、食料・農業・農村政策審議会で、次の5年の方針の審議を4回行ってきたそうですが、遺伝子組み換え作物や農薬に反対する活動をしている人たちからは有機農業推進の訴えが為されたものの、審議委員たちの間ではそれに対する反応は少なかったようです。

 

その審議は「どうすれば有機農業が伸びるか」という方向で議論が進まず、「面積を増やすだけが推進ではない」とか「消費者理解を深める方が先」といった、「そもそも」論がぶり返してしまうほどだとか。

結局、4月の第4回審議会では今後の基本方針の決定はなされず、次の部会開催も決まらないままだったそうです。

 

こういった雰囲気は、審議会の専門委員ばかりでなく、法律制定時に力を入れた議員たちにも当時の熱気はまったくなくなってしまい、農水省に関連予算を増額するといった要求もなく、皆関心を失ってしまっているようです。

 

有機農業による農産物が「安全・安心」などというのは根拠がない主張ですが、農薬などによる栽培環境の撹乱を無くし、環境負荷を軽減することで持続的生産が可能であるということは間違いありません。

この認識を正確に国民に理解してもらうという努力がなければ、本当の有機農業推進にはつながらないでしょう。

 

「大絶滅時代とパンゲア超大陸」ポール・B・ウィグナル著

生物の大絶滅というと、白亜紀末の恐竜を絶滅させた隕石の衝突が有名ですが、実はその前の時代のペルム紀から三畳紀にかけて起きた絶滅の方がはるかに多くの生物を死滅させました。

その原因については未だ明確となっているわけではなく、様々な学説が出されて確定はしていませんが、この専門の研究者である著者のウィグナル教授がその全体像を解説しています。

 

2億6000万年前のペルム紀から1億8000年前のジュラ紀中期までの間に、大きな絶滅が6回起きています。

本書では、そのうち特にペルム紀末の2億5000年前の大絶滅と三畳紀末の2億年前の大絶滅を詳述しています。

 

その当時は地上の大陸が1つの超大陸パンゲア」にまとまった時代でした。

実は、その事実が大絶滅にもつながっているというのが著者の学説です。

 

3億年前に南半球の巨大な大陸ゴンドワナが北方のローラシアという大陸と衝突し巨大なパンゲアという大陸ができました。

そして、ペルム紀に入ってシベリア東部がさらにパンゲアに衝突し、全大陸がほぼ一つの超大陸となりました。

その衝突の衝撃が作用し、シベリア・トラップと呼ばれる「洪水玄武岩地域」という地層を生み出しました。

そこでは、現在見られるような通常の火山活動とは桁違いの大噴火が起き、膨大な溶岩が数百キロにもおよぶ地域を覆い尽くしました。

これを「巨大火成岩岩石区」(LIPs)と呼び、その後も数回起こっています。

 

この2つの事象、パンゲア+LIPs=大量絶滅 というのが著者の主張です。

 

シベリア・トラップが引き起こした大絶滅は、ペルム紀末の2億5200万年前に始まるものでした。

海洋に住む多くの生物は完全に消滅しました。

例外は軟体動物と魚類の一部で、その絶滅時代を生き延びてその後の発展につながりました。

地上の生物もほとんどが死滅し、わずかに淡水水域に生育するものと、小さな植物のみが生き残りました。

また極地に生物の生き残りが見られることから、非常な高温化が起きたことが分かります。

これらの激変の原因は、シベリア・トラップの大量の溶岩から放出された火山ガスや二酸化炭素による環境変化と考えています。

これらの影響により海洋の酸性化、気温の上昇が起き、海洋の広い範囲で無酸素状態が発生し海洋中での生物の大量絶滅が起きました。

このような高温化は地上生物の絶滅には直接はつながらなかったようで、そちらには大量のハロゲン物質の放出によりオゾンの消失と紫外線の増加が考えられています。

 

一旦ほとんどの生物が絶滅した三畳紀ですが、その後半には生物が劇的に回復し繁栄します。

魚類や二枚貝類は適応放散を遂げ多様な植物と動物が出現しました。

地上でも比較的寒冷であった極地周辺で生き延びたものが冷却化とともに地上に広がっていきました。

 

三畳紀の末期には、またもかつてと同様のLIP形成が起こりました。

現在のモロッコに当たるところで始まった火山活動は、どんどんと広がり現在のアメリカ東部にまで広がっていきました。

そこから生物絶滅に至る過程はかつてのものと同様でした。

ただし、以前の絶滅と完全に同じではなく、違った要素もあった可能性があります。

 

このような地球温暖化による大量絶滅からの回復には、海洋無酸素化が発生することにより有機物が分解せずにそのまま埋没し、そこに二酸化炭素が取り込まれて空気中の二酸化炭素濃度が減少し、地球寒冷化につながったのではないかと考えられています。

そして、そのような海底への有機物埋没が起きるような、浅海が大陸がすべて一つにまとまっていたパンゲアの時代には非常に少なかったと見られます。

 

その後、パンゲアは徐々に分裂し今につながる諸大陸の時代になりました。

そうなると、実は大陸周辺の浅海というものも面積も広がっていきます。

そこに有機物が埋没することで空気中の二酸化炭素を地下に戻すことができ、それ以降は大絶滅につながらなくなったのではないかというのが推論です。

 

生物の大量絶滅というものは繰り返し起きたというのは事実ですが、その原因を探るというのは難しいものでしょう。

パンゲアという超大陸と、そこでの激しい火山活動がこの結果をもたらしたという著者の説は説得力があると感じます。

 

大絶滅時代とパンゲア超大陸: 絶滅と進化の8000万年

大絶滅時代とパンゲア超大陸: 絶滅と進化の8000万年

 

 

大相撲 またも期待の力士が怪我で休場

老人の楽しみ、大相撲のテレビ中継を良く見ています。

大関横綱昇進も期待されていた貴景勝が、御嶽海との激戦を勝ったものの負傷して休場しました。

www.sponichi.co.jpこの一番もじっくりと見ていましたが、御嶽海も力を出し切っての対戦で、非常に見ごたえがあったのですが、吊りだした貴景勝の方が直後に足を引きずるということで、これは危ないと思ったら翌日から休場となりました。

上記記事にもあるように、右膝関節内側副靭帯損傷というものです。

 

これまでも、期待された力士が怪我をして休場、治りきらないまま番付を下げたり引退に追い込まれたりということが次々と起こっています。

あの、稀勢の里横綱昇進を果たし、モンゴル勢の圧倒する優勝争いに風穴を開けるかと期待したのも一瞬、すぐに怪我をして結局満足に治らないまま引退となりました。

 

このところの優勝力士もその後活躍するかと思えばどこかに怪我が出てきて、低迷。

御嶽海、栃ノ心玉鷲など皆その疑いがあります。

いずれもその後の活躍に大きな期待をしていただけに、残念という思いが強くなります。

 

あの稀勢の里の負傷は、高い土俵から転落しそれが原因らしいと思いましたが、今回の貴景勝の負傷は見ていてどこが原因かさっぱり分かりませんでした。

 

おそらく、体重が重すぎて過度に力を入れると耐えきれないのでは。

 

抜本的な制度改革が必要かと。(体重制限制度、入門時に運動能力テスト、土俵を平面化して落下を防ぐ等々)

 

「炎上とクチコミの経済学」山口真一著

「炎上」と「クチコミ」、どちらもネット社会特有の現象としてよく耳にするようになりました。

著者の山口さんは計量経済学がご専門ということですが、ネット関係にも詳しい方のようです。

あとがき、に正直に書いてありますが、以前に「ネット炎上の研究」という本を出版されたのですが、あまり売れなかったそうです。

そこで、出版社からの「今度はビジネス書として出してみたら」という助言のもとに書いたのがこの本だということです。

 

そのためか、対象も企業の情報担当者などとし、図表やグラフも載せられているもののさほど学術的なものとはせず、わかりやすい実例を散りばめるという、読みやすいものとなっているようです。

 

PCでのネット接続でかなりインターネット社会となりましたが、その後のスマホの爆発的流行で、国民のほとんどがネット社会住民となる状態がやってきました。

その中で、ネットを十分に活用して企業活動を行っている会社もありますが、一方では一応ホームページは作ってみたけれどという程度の会社もまだ多く残っています。

 

特に、ソーシャルメディアを活用しているという企業は、平成28年の調査でまだ22%に留まっており、5社に1社程度となっています。

クチコミというもので売上が伸びる可能性には期待するものの、炎上が起きたら怖いという恐怖心もその原因となっているようです。

 

会社発信のソーシャルメディアで、一度炎上が発生すると株価も打撃を受けるという例もあります。

それは、飛行機事故に匹敵するほどの影響ともされています。

さらに、ネット上では「火のないところに煙が立たない」というわけでもありません。

単なる誤解に過ぎないのに、思い込みで炎上してしまったという例も多数存在します。

このような危険があるのなら、近づかない方がマシというところも多いでしょう。

そのような「表現の萎縮」というものは確かにあるようです。

 

「炎上」と「クチコミ」に関して、一般に持たれる印象と実像とはかなり違う場合もあるようです。

ネット炎上というものは、多くの人々からの怒りが集中すると考える人も多いでしょうが、実際はごく少数の人間が関与している場合がほとんどです。

著者が調査したところ、「炎上」に一度でも書き込んだことがあるという人は、調査対象の1.1%しかいませんでした。

どうやら、現役の炎上参加者と言える人は0.7%程度と見積もられます。

 

「クチコミ」についても同じような傾向が見て取れます。

これも調査によると、一度もクチコミなどに書き込んだことが無い人が54%。

経験のある人でも、多くの人はせいぜい半年に1回といったもので、ごく少数の人が盛んに書き込んでいるというのが実情です。

 

したがって、こういった「ネット世論」というものは、社会の全体の意見傾向を反映しているとは言えません。

 

さらに、ネット世論は中庸の意見の人はあまり書き込もうとはしません。

極端な意見、ネガティブな意見というものを持っている人ほどネットに投稿しようという傾向が強く、そういった書き込み行動がネット世論を形作っています。

 

ネットで「炎上」に参加するのは、「バカなヒマ人」「社会的弱者」ではないかという見方もされますが、実際には「年収が高い」「主任・係長クラス以上」の方が多いようです。

ただし、主任・係長クラスの人が多数参加しているということではなく、やはり参加者はごく一部の人に限られているようです。

こういった人たちの「炎上」参加の動機は、よく言われるような「ストレス発散」であることは少なく、「正義感」から来ているようです。

「面白いから参加する」「ネットオタク」というイメージとは相当違いそうです。

 

ただし、よく調べないで誤解したまま批判投稿というのは、そういった人たちでも同様で、間違ったまま自分たちの正義感で突っ走ってしまうという例も多そうです。

 

巻末には「炎上対策マニュアル」というのもまとめられています。

企業の担当者などには参考になるかもしれません。

 

私もこのブログでかなり思い切った(と自分では思っている)批判などをしていますが、幸いこれまで炎上ということにはなっていません。

しかし、気をつけておかねばならないのは確かです。

 

炎上とクチコミの経済学

炎上とクチコミの経済学

 

 

日本政府がアメリカとイランの仲立ちになることはできないことを、イラン外相はようやく悟った。

アメリカのイラン敵視政策はさらに激しさを増しており、中東での戦争危機も予測されていますが、イランの外相が日本を訪れ、河野外相と会談しアメリカとの仲介を求めたようです。

www.nikkei.com

しかし、これまでの核合意の履行と軍事的な自制を求めるだけの日本政府の姿勢に、ようやくザリフ外相も日本が頼りにならないことを悟ったようです。

this.kiji.is日本とイランとの関係も長く友好を保ってきましたが、アメリカに追従するばかりの現日本政権に何の期待もできないということでしょう。

 

これまでアメリカの意のままに動いてはいたものの、一部に独自の方針を持っていた日本政府も、まったくそれを失ったようです。

今こそ、かつて囁かれたように、アメリカの州として加入させてもらう時期なのかもしれません。

まあ、絶対に向こうが断るでしょうが。

「村上春樹はノーベル賞をとれるのか?」川村湊著

著者は文芸評論家として、これまでにも村上春樹に関する著書も書いてこられており、毎年ノーベル賞発表の頃にはマスコミの取材を受けることも多く、ある年はテレビスタジオに待機させられ、ドーランまで塗った状態で報せを待ったこともあるそうです。

 

そこで「本当に村上春樹ノーベル文学賞を取れるのか」ということを改めて整理し直してみようということです。

そのため、「村上春樹の文学」だけでなく、ノーベル文学賞とはなにか、どのような人が受賞しているのか、日本人との関係はどうなのかといったことを論じています。

ボリュームとしては、前半の「ノーベル文学賞とはなにか」と「ノーベル文学賞と日本人の関わり」の方が多くなっており、村上文学に興味の中心がある人にとっては物足りない内容だろうと著者も書いていますが、そこまで村上に興味のない人で「本当に取れるの?」という疑問を持つ人に取ってはかえって分かりやすくなっているようです。

 

本書は2016年に出版されているため、2016年のボブ・ディランの受賞、そして2017年のカズオ・イシグロについては触れられていません。

この部分が本書の主張とも密接に関わりますので、最初に書いておきます。

ノーベル文学賞の受賞者傾向にははっきりとした選考者の意向が見られ、少しでも大衆文学の臭いが感じられるものは初めから外されており、また政治的にファシズム共産主義に近いものもすべて除外されています。

まして、歌でアピールする文学などはまったく関係ないものであり、「最近シンガーソングライターのボブ・ディランノーベル文学賞をという動きがあるそうだが、ポップカルチャーとしての歌詞に賞が与えられる可能性はまずないと考えられる」と書かれていますが、残念でした。外れました。

また、カズオ・イシグロについて書かれている部分は、村上春樹との関係も強いということで、カズオ・イシグロが受賞する可能性もあるとされています。

ただし、ナボコフがいくら英語の作品を発表しても「英語枠」には入らなかったのと同様、イシグロもあくまでも「日本人枠」であり、カズオ・イシグロノーベル賞を受賞すれば、日本人枠の受賞間隔の12年は村上の受賞がないだろうと予測されています。

この部分が現実となってしまいました。

とすれば、今後10年は村上春樹受賞はないということでしょう。

 

日本人のノーベル文学賞受賞者は、川端康成(1968年)と大江健三郎(1994年)の二人です。

しかし、候補としてあがり、いい線まで行っていたと見られるのは、賀川豊彦三島由紀夫谷崎潤一郎西脇順三郎といった人たちが居たそうです。

三島・谷崎は有名ですが、賀川は小説家としては疑問符、西脇はその名も知る人は少ないでしょう。

この辺にもノーベル文学賞の性格というものが分かるというもので、大衆文学者といった「ミリオンセラー作家」はそれだけで外されるということもあるようです。

世界的にも、超有名という作家でまったくノーベル賞とは関係のなかった人々が多数居るようです。

逆に、ノーベル賞を取ったことで初めて一般に名を知られるという作家も多かったようです。

谷崎潤一郎は、川端康成受賞のタイミングと同じ時期に名が挙がっていきました。ただし、残念なことに1965年に亡くなってしまいました。

もしも存命なら川端より受賞可能性が高かったようです。

 

三島由紀夫も同じ頃に名が挙がり、本人もかなり自覚を強めていたそうです。

実は、自衛隊に侵入し自殺したという事件は、このノーベル賞受賞を逃したということが引き金ではないかと疑っています。

ただし、ノーベル委員会の調査がどの程度深くなっていたのかは不明ですが、彼のように右翼思想家というのはノーベル委員会が非常に忌避するところですので、やはり無理だったろうというのが著者の結論です。

 

ノーベル文学賞の選考委員の基準というものを推し量っていけば、その傾向も明らかに見えてきます。

これまでの「未受賞者」の大物のリストを見ていけば明らかです。

古くは、コナン・ドイルモーリス・ルブランアガサ・クリスティーエラリー・クイーンレイモンド・チャンドラーフレデリック・フォーサイスエドガー・ライス・バローズグレアム・グリーン、等々

とにかく、「エンタメ系」と呼ばれる作家、ミリオンセラー作家はどうも初めから除外されているようです。

とにかく、「ミステリー、SF、ホラー、ヒロイックファンタジー、ポルノグラフィー、コメディー、物語的な歴史小説」といったジャンルは相手にされていません。

 

また極端な政治思想は嫌われており、ナチズム、ファシズムもNG。

共産主義者も完全に排除されてはいないものの、あまり好かれてはいないようです。

かえって、旧ソ連や中国に関係するものをみると、反体制文学者や亡命者に受賞させているようです。

 

ノーベル文学賞の初期には、英語、フランス語、ドイツ語を中心としていましたが、徐々に別の言語の文学も入れてきました。

しかし、まだそこまで頻繁には受賞させているわけではなく、ある間隔をもって回ってくるといった状態です。

何より、選考委員会にそのような言語の使用者は居らず、間接的に評判を聞いているだけのようです。

(そうでなければ、川端の「ポルノ寸前」の作品があることを知っていなかったらしいのはおかしい)

未だに、韓国語や東南アジア、南アジアの言語はほとんど無視されているかのようです。

 

日本の文学者たちの間でも、ノーベル賞についての話はほとんど出ることもなく、ただ受賞者発表の頃にマスコミだけが騒いでいるといったところのようです。

まあ、カズオ・イシグロ受賞で、村上春樹受賞は当分無さそうだということだけは分かりました。

 

村上春樹はノーベル賞をとれるのか? (光文社新書)

村上春樹はノーベル賞をとれるのか? (光文社新書)

 

 

"賀茂川耕助のブログ”を読んで、No.1252「若年層の貧困化」

久しぶりに賀茂川さんのブログから、「若年層の貧困化」

kamogawakosuke.info南ヨーロッパでは若年層の失業率が高いという話は、かなり昔からありましたが、どうやらアメリカや日本でも深刻化しているようです。

 

賀茂川さんが取り上げているのは、アメリカでの若年層の貧困化のために、車の購入が減っているということ。

完全な車社会のアメリカで、車を買えないために苦肉の策でカーシェアリングが増えているとか。

アメリカでは学資ローンという大学へ行くための借金が膨大のようで、その負債総額は100兆円以上、自動車ローンやクレジットカード負債総額を上回るようです。

 

大学を卒業して職を得たとしても、高額な収入を得られる職はほとんど無く、わずかな収入からローン返済をしていれば車を買う余裕もないとか。

 

日本の奨学金返済状況とも似ているようです。

 

日本でも若年層の雇用状況は苦しくなるばかり。

正規雇用が増大するばかりで、その平均給与は年間175万円とか。

これでは車を買うどころか、結婚もできません。

 

賀茂川さんは、最後を「高齢化、雇用、貧困、そして失われた30年の問題に取り組むためにも大きな社会体制の変革が必要だ。」と結んでいます。

しかし、それは分かっていても具体的にどのような変革が必要か、その道筋を示せる人はいません。

 

野党もそれが分かっていれば今のようなウソだらけの安倍政権など簡単にひっくり返すことができるのでしょうが、誰にも分からないのでしょう。

かくして、安倍内閣の支持率は微動だにせず、最終的な崩壊が迫ってくるわけです。