爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

霧島 新燃岳で爆発的噴火

霧島連山新燃岳でかなり大きな噴火が起きたということです。

我が家からは直線距離で約80km、風向きによっては火山灰が飛んでくる可能性はあります。

 

www.data.jma.go.jp

ただし、ちょっと気になるのは前回の新燃岳の噴火です。

2011年の1月にやはり大規模な噴火が起きています。

その2ヶ月後にはあの東日本大震災が発生しました。

 

専門家は関連はないと言うでしょうが、やはり地震と火山の活動期に入っていることは間違いないでしょう。

 

南海トラフや、北海道南西沖などのプレート境界型の大地震発生の危険性が繰り返し注意喚起されているばかりでなく、プレート内の断層地震でいつ起きるか分からないものは日本列島内には無数にあります。

 

2年前の熊本地震の怖ろしさがよみがえります。最初の大きな地震は恐怖というものを感じる前に来てしまいましたが、その後のいつまでも続くかのような余震の怖さというものは、経験しなければなかなか分からないものでしょう。

 

日本では地震や火山噴火がいつか来るのは間違いなく、仕方ない運命なのでしょうが、対策を取ることでできるだけ被害を少なくできるのも確かです。

日々の生活に追いまくられるだけでなく、防災というものを考えてほしいものです。

 

「名字のヒミツ」森岡浩著

日本人の名字は非常に種類が多いと言われていますが、それをきちんと調査したということはあまりないようです。

名字研究家という森岡さんは、最近はNHKのテレビ番組「日本人のおなまえ」でもお見かけしますが、なかなかしっかりと研究をされているようです。

 

名字に関しては様々な話が飛び交っていますが、結構いいかげんな話もあるようです。

日本人の名字は世界一多いという話もありますが、実際はそこまではいかないようで、アメリカは各地からの移民で出来上がっている国なので名字種も非常に多いとか。また、フィンランドも人口は少ないながらかなりの数があるそうです。

 

「名字」と「姓」「氏」というものは現在ではほとんど意味の違いが意識されていませんが、元は別のものでした。

天皇家から与えられたものが「姓」で源、平、藤原などがそうですが、それに対し平安時代後期以降に支配した土地などの名前を取って付けた通称が「名字」です。

室町時代まではその両方を意識していたのですが、戦国時代に姓などは不明な成り上がり武士が出てくると混乱してしまいました。

さらに、明治時代にすべての国民に氏姓を届けさせて戸籍を作った時、姓を届けたものもあり、名字を届けたものもありということでバラバラになってしまったそうです。

 

なお、明治時代に平民はそれまで無かった名字を作って届け出たと思っている人もいますが、実際はほとんどの庶民は江戸時代にも名字を持っており、それを明らかにしただけのようです。

 

本書では海外の名前はほとんど触れていませんが、名字と名前が1つずつという日本の方式は必ずしも一般的ではないとしています。

名字など無いというのが東南アジアの国々でしたし、モンゴルでは父親の名前と自分の名前を続けて呼びます。

また欧米でもミドルネームというものが一般的のようです。

 

「名字ランキング」というものがありますが、それについても簡単に説明しています。

最も早く発表されたのが「佐久間ランキング」というもので、昭和47年に佐久間英さんという方により作られました。

データソースは各種の名簿類だとか、サンプル数もあまり多くなくまた大都市のものが多かったために正確度には欠けたようです。

このランキングで鈴木が一番としたために、その後もそう信じている人が多くなりましたが、他のランキングでは佐藤が一番となっています。

しかし、佐久間氏は「実在の名字」にはこだわっていたということで、芸名や筆名、存在しない名字は極力排除するようにされていたそうです。

 

昭和62年に第一生命が自社の契約者約1000万人のデータを分析したのが「第一生命ランキング」と呼ばれるものです。

はじめてコンピュータを使って整理されたランキングなのですが、当時のコンピュータはまだ非力で、漢字処理ができずにすべてカナ表記でした。そのため、「安倍」「阿部」「安部」はいずれも「あべ」として同じとなっている一方、「山崎」は「やまさき」と「やまざき」で別扱いとなっているということがあります。

また、第一生命の契約者という限られた範囲であり、地域によっては極端に少ないという県もあったようです。

 

平成13年に村山忠重氏が発表したのが「村山ランキング」です。

これは電話帳をCDROM化して発売されたソフトから抽出して独自の解析を行ったものです。

これの欠点は「すべて漢字表記のカウントになっている」ことです。

電話帳にはフリガナがありません。そのため、漢字で書いてあってもなんと読むかは分からないということです。

つまり、「河野」という名字は「かわの」と「こうの」の両方が合算されてしまっていることになり、森岡さんの解釈ではこれは別名字ということなので、不正確になる部分があるようです。

 

村山氏以降、電話帳を用いた名字ランキングは他の人からも発表されるようになっています。

しかし、前述のとおり電話帳には漢字の読みは入っていないと言う問題の他にも、姓名の間の区切りが間違っている場合があることや、そもそも本名だけが登録してあるとは限らないこと、また携帯電話の普及により電話帳に掲載されない人が多くなっているということも増えてきました。

日本では行っていない、国による国勢調査の利用ということが無ければ正確なデータは取れないだろうということです。

 

変わった名字「珍名」というのがよく話題になりますが、これも実際は存在しない「幽霊名字」である可能性が強いようです。

もちろん、一人でも実在すれば「あった」ことにはなりますが「絶対にない」ということを証明することは困難です。しかしどうやらほとんどある可能性がないという名字がその割に話題に上っているようです。

これには、興味本位で本で取り上げたりする出版社の姿勢も関わっているようで、裏付けのないまま本にしてしまいそれを読んだ人が信じるということもあるようです。

「海千山千」(ふるて)とか「千万億」(つもい)といったものはどうやらこういった作った幽霊名字ではないかと見ていますが、「四月朔日」(わたぬき)や「栗花落」(つゆり)という名字は実際に存在していますので、難しいところです。

 

名字の分布でみると、東日本と西日本ではかなり差があるようです。

東日本では「佐藤・鈴木」型としていますが、その2つが特に多く、また斎藤、加藤のように下に「藤」のつく名字が多いのが特徴です。

さらに、特に東北地方では名字の種類が比較的少なく、一つ一つの名字の人口が多いようです。

西日本では「山本・田中」型、その他地形由来の名字が多く、さらに名字の種類が多いと言う特徴があります。

 

また、人の移動が増えて来たとはいえやはり各地方で特に多い名字というものはあるようで、栃木の阿久津、山梨の雨宮、愛知の杉浦、愛媛の越智、熊本の田上・赤星・古閑、宮崎の黒木、鹿児島の鮫島・松元など、特徴的なものは多く挙げられます。

 

名字に関する話題、いろいろと興味深いものでした。

 

決定版! 名字のヒミツ

決定版! 名字のヒミツ

 

 

「飛行機をとばすコマ」森菊久著

「飛行機をとばすコマ」とはジャイロスコープのことです。

コマ(独楽)とは子供の遊びと思っていたら、それだけではなく色々な応用がされているようです。

 

おもちゃの中で、地球ゴマ、(あるいは宇宙ゴマ)と呼ばれる、枠の中でコマが回転するようなものがありますが、これがジャイロスコープの原理と同じ現象を用いているものです。

 

軸受の摩擦を極力減らしたような地球ゴマを長時間にわたって回し続けると、徐々にその方向を変えていきます。

そして、丸一日回転させると一周して元の方向に戻るのですが、これは回転するコマは地球が自転しても同じ方向を向き続けるためです。

この原理を使ったのがジャイロスコープで、回転する軸が常に同じ方向に向こうとする作用を使い、移動する船や飛行機などに載せればその変位を測定できるというものです。

 

船舶や飛行機、ロケットなどあらゆる飛翔体にジャイロスコープを載せておけば、あらかじめ定められた基準方位からバランスを崩してずれた時、その変位角度に応じたシグナルを発します。

飛行機の場合は三次元のシグナルが必要ですので、XYZ軸それぞれに対応するジャイロを使います。それぞれを、水平儀、定針儀、旋回計と呼ぶそうです。

 

自動飛行装置や無人操縦という話題になるとどうしても軍事技術と重なってくるようです。

無人機をどう飛ばすか、ミサイルを誘導する方法など、深く関わってきます。

ジャイロ自体もコマを回すといったシンプルなものからどんどんと進化してきたようです。

 

この辺の話題はどうも苦手な分野で、なんとなく分かったという程度ですが、精緻な理論を極めて有効に応用しているのでしょう。

 

 

「北陸の縄文世界 御経塚遺跡」布尾和史著

新泉社から出版されている「シリーズ遺跡を学ぶ」という本の中の一冊です。

まあそれほど実際の遺跡というものに興味があるわけでもないのですが、この遺跡には関わりがあったために読んでみました。

 

少し前に仕事で金沢に行っていたのですが、その際に住まいから事務所まで通勤していた経路の途中にあったのが「御経塚」というところです。

珍しい地名だと思いましたが、そのうちに遺跡があったということも分かりました。

その周辺は現在では国道8号線が通り、大型ショッピングセンターや電器店、家具店が林立しており、買い物にも出かけたところでした。

現在では、あちこちに遺跡の見物にも出かけていますが、当時は仕事が忙しく御経塚遺跡も訪れることはありませんでした。

 

そこでこの本を読んでみたのですが、まずこれが「縄文時代後期の遺跡」であることも初めて分かりました。

御経塚遺跡のすぐ近くには「チカモリ遺跡」というものもあり、こちらは大型の環状木柱が発見されたということで、現在では国指定史跡となっているそうです。

 

御経塚遺跡が発掘されたきっかけというのも、国道バイパス建設のための工事が進行する前に必要な調査をしておきたいということであったようです。

地元の方の熱意ある協力もあり、かなりの広範囲の調査ができ、その後地元の自治体が展示資料館も建てることができました。

 

御経塚遺跡から出土した遺物はかなり広い時期のものであり、時代の特定は難しいものであったようです。

それでも縄文時代の後期から晩期ということは分かるようで、その後弥生時代に入るとこの集落は放棄されました。

晩期の時代はすでに九州地方の先進地域は水稲栽培の弥生時代に入っており、そちらとの交流が伺えるようです。

 

著者の布尾さんは地元の教育委員会で勤務されていたという、現場密着の方ですので、詳しい資料も含まれた本でした。

 

北陸の縄文世界・御経塚遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」087)

北陸の縄文世界・御経塚遺跡 (シリーズ「遺跡を学ぶ」087)

 

 

安心!?食べ物情報より、リステリア菌がハムから検出

今週更新の渡辺宏さんの「安心!?食べ物情報」では、リステリア菌コストコのハム詰め合わせから検出されたというニュースが紹介されていました。

 

http://food.kenji.ne.jp/review/review954.html

 

コストコで販売されていた輸入物のハムのセットが汚染されていたそうです。

リステリア菌は日本ではあまり問題になっていませんが、世界的には大きな危険性が指摘されている食中毒菌であり、特に肉加工品や乳製品、また生食する野菜類にも付着しているようです。

 

その症状は強いとは言えないのですが、特に妊産婦が感染した場合には胎児が重篤な影響を受けたり流産したりする危険性があり、注意が必要です。

また、高齢者などで免疫機能が衰えた人が感染すると危険です。

 

さらに、生育温度の範囲が広く冷蔵庫内の低温でも増殖する可能性があることが指摘されています。

また高い食塩濃度の中でも死なずに生き残る性質があり、高塩濃度で細菌発生を抑える食品類でも増殖します。

なお、リステリア菌は食品中で増殖した場合でも腐敗臭を出さないということで、気付かずに食べてします危険性もあります。

 

www.mhlw.go.jp

実は、リステリア菌食中毒はアメリカやヨーロッパでも頻繁に起きており、アメリカでは年数千人が感染し死亡者も多いということです。

食品をよく加熱してから食べれば内部のリステリア菌も死滅しますが、ハムや乳製品、生野菜のようにほとんど加熱しないまま食べる食品では危険です。

 

今回検出された食品は、イタリアから輸入したラックスハムとソフトサラミの詰め合わせだそうです。

これも、切っただけで食べてしまうことが多いものですから、食中毒の危険性も大きいのでしょう。

国内産の食品にはあまり聞いたことがありませんが、注意は必要です。

 

「〈かくれんぼ〉ができない子どもたち」杉本厚夫著

今の子どもたちの中には、「かくれんぼ」ができないという子もいるそうです。

他にも「この指とまれ!」ができない子、「ブランコ」がこげない子、などかつての感覚からは信じられないような状況が出現しているそうです。

 

かつてそういった遊びをしてきた大人たちからは「今の子供は」といった感想が出そうですが、これは社会全体が変化してきたためだということです。

 

そういった状況を、大学で教育学を専攻し、さらに子供や親子を集めて遊び方というものを提示するという研究も実施してきたという著者が分析し、さらに遊び方伝授のプログラム実施について書かれています。

 

「かくれんぼができない子」とはどういう子か。

隠れてもわざと見つかるように、物音を立てて自分の居場所を鬼に教えてしまうそうです。

また、一人では隠れずに何人かで一緒に居るためにすぐに見つかってしまいます。

実は「かくれんぼ」というのは非常に怖い側面を持った遊びです。

見つからないためには近づくのが難しい場所に隠れなければならず、危険箇所を選ぶ場合もあります。

また、隠れていて見つからないままでいたら、遊びはいつの間にか終わってしまい、自分だけ取り残されたという怖さもあります。

これは「迷子の経験」「孤独の経験」「流刑の経験」「彷徨の経験」といったものを疑似体験させる遊びだったからだそうです。

 

現代の社会というのは、こういった孤独が実体験となっている時代かもしれません。

したがって、遊んでいてもそれが怖くなりかくれんぼを続けられなくなっているということなんでしょう。

 

この指とまれ」とは何か

かつては鬼ごっこなどをしようという時に仲間を集めようとして「この指とまれ!」ということがありました。

しかし最近はなかなかその場面が見られないようです。

不特定多数の集団から、遊びの種類によって希望者を募ると言う遊びの形態が見られなくなってきました。

現在では、いつも一緒にいる友達の集団の中で、次に何をやって遊ぶかを決めるだけです。

そこでは「この指とまれ!」は必要ありません。

 

この指とまれ!といって集めた集団は「機能的集団」です。一方、自分では選択することができない家族や地域といったものは「基礎的集団」であり、なかなか抜けることもできない「帰属集団」です。

帰属集団は「私的仲間」、機能的集団は「公共的仲間」ということもできますが、現代の子どもたちは「公共的仲間」を作り出して遊ぶということができなくなったようです。

 

 

後半では著者たちの研究グループが、親子や子供たちを集めて行ったプログラムの状況が説明されています。

そこの事例はちょっとできすぎという感がしなくもないのですが、たしかに「自分の子供だけを構うのではなく他の子を世話する”社会的親”」の役割と言うのは重要でしょうし、子供の遊びは指導するのではなく自発的にやらせるというもの間違いないでしょう。

 

また「自分のことは自分でしない」というのも面白い表現と思いました。

子どもたちの家庭ではおそらく親からつねに「自分のことは自分でしなさい」と言われ続けているでしょう。

しかし、そのことが子どもたちだけの社会となった時に「相互の関係が育たない」原因ともなってしまいます。

そこで、「さ」の字を取ってしまい「自分でしない」つまり他の子供に頼むということをさせるというのです。

キャンプでの食事の場面でも「醤油を取ってくれ」と言えない子供が多いようです。

醤油が欲しい場面でも家庭での「自分でしなさい」のしつけのために、席を立って自分で取りに行くようです。それが他の子供との会話を妨げることにもなります。

何かあれば他の子供に頼むということは、必要なことだということでした。

 

「かくれんぼ」ができない子どもたち

「かくれんぼ」ができない子どもたち

 

 

トランプの強請り外交はどこまで拡大するのか

アメリカの貿易赤字が問題として、さまざまな不公正施策を次々と打ち出しているトランプ政権ですが、鉄鋼輸入の不均衡が大きいとして輸入鉄鋼・アルミに多額の関税を掛けるということを発表しました。

 

www.newsweekjapan.jp

すでに日本を始め各国に兵器の押し売りで多額の上納金をせしめただけでは飽き足らず、この始末です。

だいたい、貿易収支だけを問題としてそれに対して規制を掛けるというのは一方的すぎる姿勢です。

 

アメリカのトータルの国際収支というものを解説した記事があります。

blogos.com

国際収支もアメリカの赤字であることは事実ですが、どうもこのところ赤字幅が大幅に削減されているようです。

さらに、貿易収支の多額の赤字をかなり埋めているのがサービス収支や金融取引収支です。

 知財や金融の黒字が大きいことはアメリカの金融資本の世界支配を表しており、貿易収支などと言った下請け生産品のアメリカ輸入などとは比べ物にならないほどの影響を示しています。

 

しかも、アメリカの財政赤字分を国債として売っている、負債部分ですが、これも日本などは売ろうとしても売れませんので、負債とも言えないものでしょう。

 

トランプ以前のアメリカが優等生であったはずもなく、その性格には全く変わりはないのですが、トランプという愚かな大統領がこれまでの覆い隠したものをすべて露わにしているだけのことでしょう。

 

このようなアメリカに財産から国民の生命から全てを捧げてついて行く日本の危うさというものが情けなく哀れに見えるばかりです。