新泉社から出版されている「シリーズ遺跡を学ぶ」という本の中の一冊です。
まあそれほど実際の遺跡というものに興味があるわけでもないのですが、この遺跡には関わりがあったために読んでみました。
少し前に仕事で金沢に行っていたのですが、その際に住まいから事務所まで通勤していた経路の途中にあったのが「御経塚」というところです。
珍しい地名だと思いましたが、そのうちに遺跡があったということも分かりました。
その周辺は現在では国道8号線が通り、大型ショッピングセンターや電器店、家具店が林立しており、買い物にも出かけたところでした。
現在では、あちこちに遺跡の見物にも出かけていますが、当時は仕事が忙しく御経塚遺跡も訪れることはありませんでした。
そこでこの本を読んでみたのですが、まずこれが「縄文時代後期の遺跡」であることも初めて分かりました。
御経塚遺跡のすぐ近くには「チカモリ遺跡」というものもあり、こちらは大型の環状木柱が発見されたということで、現在では国指定史跡となっているそうです。
御経塚遺跡が発掘されたきっかけというのも、国道バイパス建設のための工事が進行する前に必要な調査をしておきたいということであったようです。
地元の方の熱意ある協力もあり、かなりの広範囲の調査ができ、その後地元の自治体が展示資料館も建てることができました。
御経塚遺跡から出土した遺物はかなり広い時期のものであり、時代の特定は難しいものであったようです。
それでも縄文時代の後期から晩期ということは分かるようで、その後弥生時代に入るとこの集落は放棄されました。
晩期の時代はすでに九州地方の先進地域は水稲栽培の弥生時代に入っており、そちらとの交流が伺えるようです。
著者の布尾さんは地元の教育委員会で勤務されていたという、現場密着の方ですので、詳しい資料も含まれた本でした。