監修者の松村さんは建設関係の技術者ですが、ヨットで世界一周の旅に出て沖縄で旧暦の生活に出会ったということです。
日本では明治5年に現在の新暦と呼ばれる太陽暦に、それまでの旧暦から変更されました。
それまで、旧暦で行われていた年中行事は多くは新暦に変更されて実施されるようになりました。
しかし、行事の性格によっては、旧暦のまま行われているもの、旧暦から1ヶ月遅らせた月遅れで行うもの、そして旧暦の日付をそのまま新暦に移して行うものと3種存在します。
中秋の名月などは旧暦そのままでなければ意味がないのでそうなっています。
また、月遅れのお盆と称して旧盆を行うのは全国広く分布しています。
しかし、正月などは新暦ですべて実施されており、旧正月を祝うのはごく一部です。
この旧暦の日付をそのまま新暦に移して行っている行事は、季節感が大きくずれてしまっています。
3月3日上巳の節句(桃の節句)にはまだまったく桃は咲いていません。
1月7日人日の節句に七草がゆを食べますが、まだ野原には天然の七草は出ていません。
9月9日重陽の節句は菊の節句ですが、これもまだ菊は咲いていません。
7月7日七夕の節句には梅雨の真っ盛り、ほとんど星空が見えることはありません。
こういった、季節感のズレが起きてしまったのが新暦移行の弊害でした。
なお、沖縄では今でもほとんどの行事は旧暦にしたがって行われており、その季節感は本来のものであるそうです。
本書後半は1年の毎月の行事を旧暦と新暦とを併記し並べられています。
そちらは実際に旧暦を意識した生活を送ろうとする場合には分かりやすいものになっているのでしょう。
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