爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「高いわけ、安いわけ 食品表示で読み解く価格差」NACS東日本支部食部会編著

編著者は日本消費生活アドバイザーコンサルタント協会という組織です。

 

同じようにみえる商品でも価格差があるというのは、どの商品にでも見られます。

それがどのような理由で違うのかということは、意外にはっきりとはしていないのかもしれません。

「食べてみればわかる」「使ってみればわかる」とは必ずしも言えないようです。

 

そこで、消費生活アドバイザーの皆さんがその商品のどこが違うのか、誰でも見ることができる「食品表示」というもので見る方法を教えてあげようという本です。

 

ただし、あくまでも「表示」されている範囲内だけの話ですので、それ以上の情報までは盛り込めていません。

 

私自身は、この中でも「酒類関係」だけはある程度裏側の部分も知っている面もあるのですが、まあ表示されない面が大きいのかなと言うのが感想です。

したがって、「本当のところまでは分からないけれど基礎知識だけは見えるかも」といった程度の情報のように思います。

 まあ、焼酎に関して言えば、「高く売れるものは高くしている」というのが実状のように思います。これはある程度は日本酒も当てはまりますが、少し違うかもしれません。

 

とはいえ、他の食品の場合は事情も違いますからあまり文句も言わずに本の中味に行きましょう。

 

まず、食品の表示についての解説から入るところなど、かなり真面目な本の作り方になっています。興味だけの読者はここでくじけるかも。

 

食品の表示は最近も大きく変化し、ますます表示する内容が多くなりました。そのうちに外装のほとんどが表示になってしまうかも。

現在の関連法令を本書でも説明していますが、JAS法(農水)、食品衛生法(厚労)、不当表示防止法(公取)と複数の省庁に関連する内容の表示が義務付けられています。

さらに他にもアレルギー表示、遺伝子組み換え、有機農産と目白押しです。

 

食品表示の見方が続いて説明されていますが、私もこんなこと細かく覚えようとも思いません。普通の人は無理でしょう。

”単品のひき肉と合いびき肉は生鮮食品と加工食品の違いがあり表示も異なる”なんて言われてもね。

 

さて、その後は各食品別の低価格品・高価格品の比較が列挙されています。

 

鶏肉では価格差は4倍、高いものは地鶏と称するものです。

 

バナナも価格差5倍とか。最高級品は有機肥料栽培、追熟作業も念を入れ高級なものになっているそうです。

 

塩は価格差10倍以上、もっとも高いものは国内で海水を蒸発させ平釜でじっくりと煮詰めた味わいあるものだそうです。

 

オイスターソースは「牡蠣エキス」の含有率が違うそうです。ただし、この数値は表示されているわけではなく、著者が問い合わせて聞き出したそうですから普通は分かりません。

ただし、大体は牡蠣エキス含有率が高いものが価格も高く、低いものは安いのですが、問い合わせても社外秘として教えてくれなかったところもあったということです。

なお、副原料に干し貝柱を使ってコクを出しているものもあり一概には言えないようです。

 

さて、問題の酒類です。

焼酎は価格差4倍、その差は原材料と蒸留法の違いにより、有機農法で自家栽培の甘藷を使った焼酎が一番高いということです。

これは、ちょっと事実とは異なります。

確かに若干高い原料を使っていますが、これで4倍も価格が違うはずはありません。

 

というわけで、本当のところにまでは踏み込めていない内容ですが、一般的な理解の助けにはなりそうです。

 

 

高いわけ、安いわけ―食品表示で読み解く価格差

高いわけ、安いわけ―食品表示で読み解く価格差