爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

消毒用アルコールと焼酎、よく分からん。

アサヒビールの焼酎「大五郎」の大型ペットボトル製品が、消毒用アルコールの増産により販売休止となるというニュースを紹介し、「これについては調べてみる」などと書いてしまいましたが、調べてもよく分からないことが多く実際のところどうなんだという肝心のことが不明です。

 

一応、かつては酒類用アルコールの仕事をしていた時期もあったとはいえ、「工業用アルコール」となると雲をつかむような話でした。

しかも、「製造数量」「販売数量」といった基本情報もなかなか手に入れることはできないようです。

そもそも、「アルコール製造量」も正確な数字は分かりません。

酒造会社のアルコール製造量にしても、国税庁から出る「酒税課税数量統計」というのは間違いのない数字なのですが、醸造用アルコールも焼酎となるもの、カクテルや酎ハイとなるもの、清酒会社へ出荷して日本酒に混ぜられるものなど、多岐にわたるため「アルコール製造量」というものは一般には公表していないようです。

 

しかも「消毒用アルコール」という統計項目自体まだありません。

「化学品」「生活用途関係」という区分けはありますが、おそらく「化学品」というのは様々な化学工業の原料とするような用途と思います。

「生活用途関係」の中に入るのではないかと思いますが、不明確です。

ちなみにこの2017年の数量が約10万klということです。

https://www.meti.go.jp/policy/alcohol/pdf/h30fychousahoukokusho_technology.pdf

 

別の記事では、消毒用アルコールの消費量が激増しており、前年の一月あたり100万リットルが6倍に増えるというものがあります。

手に入りやすくなるの? アルコール消毒液 |サクサク経済Q&A| NHK NEWS WEB

急に「リットル」という単位が混入してくると分かりにくくていけませんが、キロリットルに直すと1000KLとなります。

ただし、この数量が原料アルコールのものか、希釈後の製品のものかでかなり変わってきます。

 

まあ、ボヤキはこのくらいにして、調べのついた部分だけでも紹介しておきます。

 

アルコール(エチルアルコールに限る)の生産、消費は日本では酒造用と工業用に厳しく分けられています。

酒造用はほぼご想像の通りと思いますので、工業用は何かといえば、塗料や農薬、接着剤などの原料となるもの、味噌醤油などの食品原料となるもの、生活関連用途、医療用など多くの用途に使われています。

 

アルコールの製造法としては、発酵法と合成法がありますが、日本ではほとんどが発酵法により作られています。

これは酒類や食品など人の口に入るものには発酵法アルコールしか使えないためもあり、工業用アルコールでも大半が発酵法により作られます。

 

製造者は、大きいところで、日本アルコール産業(かつてのNEDO)、日本合成アルコール、合同酒精美峰酒類、メルシャン、サントリースピリッツ、三菱ケミカル、全農といったところのようです。

この中にはほとんどが酒類用のところもあり、工業用主体のところもあります。

 

アサヒビールがどのような体制で焼酎を作っているのか、そこに興味があったのですがその点はなかなか簡単には分かりません。

もともと、アサヒビールグループにはアルコール製造の専業社は入っていませんでした。

したがって、それを原料とする甲類焼酎も商品群にはなかったのですが、協和発酵が医薬品業に専念するためにアルコール製造、焼酎製造の業務をアサヒに移転するということがありました。

結局、アルコール製造部門は協和発酵に残したのですが、その後協和発酵はキリングループに入ることになり、どうなることかと思ったのですが、どうなったのでしょう。

 

この辺が今回の大五郎販売休止の問題とも関わってくるのではと思いますが、もはや部外者としては見当が付きにくいところです。

 

なお、数か月前の消毒薬が供給不足という騒ぎの時にも、「アルコールはある、容器が足りない」と言われていました。

これが正しいと思います。