フランスを中心としたヨーロッパの物語を書いておられる著者がペテン、詐欺、贋作といったことについて多くの事例を挙げています。小説の種にもなるのでしょうが、書き方はあくまでも事実だけを淡々とといった感があります。
取り上げられた人々はこれまでにも目にしたことのある有名な人もいますし、初めて聞いた話もあります。それにしてもこういった人々は次々と現れるものです。現在でも続々と後継ぎが出現しているのでしょう。
とはいえ、中にはあまりにもすごすぎて感心するものもあり、また本物を越えるほどの贋作の製作もあり、贋作者として軽く見ることはできません。
以前に他の本で目にしたフェルメールの贋作者のファン・メーヘレンも取り上げられています。これは模写をしたという程度のものではなく、フェルメール風に描いた絵は専門家が見ても見分けがつかず、この作品をナチスドイツの高官に売ったために戦後罪に問われた際に、人々の面前で実際に自分で描くところを見せてようやく証明したというエピソードも挙げられています。
イタリア人のアルチェロ・ドッセナという男も彫刻などの分野で天才的な贋作を作製したということで、のちに自分が贋作者だと名乗り出ても誰も信じず、作って見せてようやく信じられたということです。
火星人襲来のラジオドラマで大騒ぎを引き起こしたオーソン・ウェルズも挙げられています。
そのラジオ放送局のドラマは人気が無く、聴取率が裏番組よりはるかに下だったので一発逆転を狙ってこういった番組を作ったのですが、いろいろな偶然が重なり大騒動になったようです。
番組の最初に「これはドラマである」という告知をしたのですが、多くの聴取者は最初は他の曲の番組を聴いており、そちらがつまらないということで「途中から」火星人ドラマに切り替えたそうで、そのために最初の注意を聴いておらず信じてしまったとか。
こういった裏話は初めて知りました。
カザノヴァというとプレーボーイ、色事師といったことだけは知っているものの詳しいことは分かりませんでした。(まともに取り上げられることも少ないためか)
しかし、実際はいろいろ詐欺を行ったペテン師だったようです。まあ少し興ざめな感もあり。
しかし、詐欺師・ペテン師といってもさすがにこういった一流の?人たちはエピソードを読んでも感心するところもあります。現代のオレオレ詐欺グループなどは足元にも近づけないものでしょう。