著者は本業は放射線防御学ということですが、疑似科学についての著書も数多く書かれておりそちらの本は他にも読んだことがあります。
また、手品が趣味でその方面でも造詣が深いようです。
そのため、本書は振り込め詐欺や悪徳商法などを扱っていますが、その詳細な手口や対策を説明するというものではなく、そのようなものに引っかかる人々の心理的な動きを解析していくという方向性のものになっています。
その登場時には「オレオレ詐欺」と言われていた振り込め詐欺ですが、いつまでたってもその被害がなくならないどころか増々増えているようです。
この被害者に聞き取りをしたところ、振り込め詐欺というものについてはほぼ全員が「知っていた」ということです。
知っていても引っかかってしまうのがこの詐欺の怖ろしいところで、それほどまでに犯人グループの手法が高度化しており、少々のうろ覚えの知識では太刀打ちできないとか。
詐欺とまでは言わなくても、「占い」というのは多くの人々の心理的な拠り所とされています。
占い師というのは、話術のプロフェッショナルとでも言うべきもので、頼って訪ねてくる人々の悩みを聞きそれに答えるために、占いを一つの方便として使っています。
しかし、「だまされやすい」という人は確かにいます。
それは、1思い込み、2欲得、3勉強不足、4権威への拝跪といった傾向の強い人達ということです。
現代でもまだやはり女性の方が社会経験の乏しさが多く、こういった傾向も強い人が多いようで、だまされやすいと言えそうです。
だまされないための対策も挙げてありますが、ここでは略します。
最後に問題なのが、知人や家族がだまされている場合です。
はたから見れば明らかに詐欺であっても、本人がそれを信じ込むにはそれなりの理由があります。
したがって、頭からすべて否定してしまっても説得は難しいものです。
当人に不安の種がなにかあるはずなので、それに寄り添って一緒に考える姿勢が必要とのことです。