爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「世界は脱炭素などには向かっていない」杉山大志さんの正論。

キャノングローバル戦略研究所の杉山大志さんがJBpressに書いたものです。

中味は私がかねてから主張していることと多くは同様です。(一部違うところもあります)

jbpress.ismedia.jp相変わらず大手メディアなどでは「脱炭素化が世界の潮流、乗り遅れるな」といった論調がほとんどですが、実際には全くそのようなことは無いというものです。

 

脱炭素などと言うものに熱心なのは欧州の数か国と日本だけ、アメリカも全く同調していません。

中国などは上辺と本音が全く異なり、石炭火力発電所の大幅な増設を続けています。

この安い電力で工業製品のコスト減を図りシェアをあげています。

 

再エネ投資やEV転換なども貴重な資金と資源を捨てているようなものです。

これでますます競争力が低下していきます。

 

欧州各国はもはや製造業などはほとんど持たず、理念だけの国になってしまったようです。

そういった国々が「世界標準」などとはとんでもないということでしょう。

 

そして「戦争の枢軸」が形成されてしまった。

ロシア、中国に加えて北朝鮮、イランも。

そういった国々との直接間接の武力衝突もあり得る事態となっています。

そんな時に脱炭素化などと言う理念だけで金を捨てるようなことをしていて戦争の枢軸との対決には勝てるはずもありません。

 

最後には11か条の提言がまとめられています。

全てに同調できるわけではありませんが、他の論者のような「世界に続いて脱炭素」などと言う粗雑な意見とは雲泥の差でしょう。

  1. 光熱費を低減する。電気料金は東日本大震災前の水準を数値目標とする。エネルギーへの税や賦課金等は撤廃ないし削減する。
  2. 原子力を最大限活用する。全電源に占める比率50%を長期的な数値目標とする。
  3. 化石燃料の安定利用をCO2規制で阻害しない。
  4. 太陽光発電の大量導入を停止する。
  5. 拙速なEV推進により日本の自動車産業振興を妨げない。
  6. 再エネなどの化石燃料代替技術は、性急な導入拡大をせず、コスト低減を優先する。
  7. 過剰な省エネ規制を廃止する。
  8. 電気事業制度を垂直統合型に戻す。
  9. エネルギーの備蓄およびインフラ防衛を強化する。
  10. CO2排出総量の目標を置かず、部門別の排出量の割当てをしない。
  11. パリ協定を代替するエネルギードミナンス協定を構築する