爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

日本の家庭の食卓が壊れたのはなぜか。

日本の食卓が壊れつつあるという本を読み、それについての書評を書いたことに対して、よんばばさんが反応してくれました。

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この本の著者の岩村暢子さんの本は他にも読んでいますが、家庭の食卓状況の調査ということを長く続けており、その調査方法も綿密で詳細なものと見られます。

ただし、少しご本人の認識が強い傾向があるのか、完全に客観的ともいえないような雰囲気も感じられます。

 

しかしこの近著に描かれている日本の家族の状況というものは、話半分としても相当ひどいものと考えられます。

 

実は、私の知る範囲内、近い身内の状況などはそれほど悪いとも思えないために上記本の内容には衝撃を受けました。

しかし、実際に自分が知りえることのできる家庭状況などどれほどかといえばほとんど狭い範囲でしかありません。

親戚でも少し離れた間柄の家の状況などは分かりませんし、隣近所でもそのような家族状況を話し合えるところはごくわずかです。

それ以外のところでは、外から見える状況だけはわずかに分かるのみで、本当のところはどうなのかよくは分かりません。

たとえば、「隣の息子は最近全然顔を見せないね」とか、「裏の娘はまた子供を連れて帰ってきてる」といったことは分かっていても、その裏にある事情などはとても聴けるものではありません。

 

そう考えると、岩村さんの本に描かれている状況も程度の差はあれ、どの家庭にも影を落としているのかも。

それで家庭崩壊までは至らなくても気まずさが覆っているのかも。

 

岩村さんの主張の一つが、「行き過ぎた個人尊重」によってまともなしつけもできなくなっているということでしょう。

年端もいかない幼児からその子のやりたいようにさせるなどと言って、結局は放任、放置をしたためだということです。

そこまでひどいのは極端な例だとしても、昔のような親の押し付けでの家庭道徳などというものは無くなっています。

それが戦争に負けた時代の大人の自信喪失から始まるという話もありましたが、それに代わる道徳として金儲け優先がはびこったということかもしれません。

 

これを立て直すにはどうしても「道徳の再建」が必要なのでしょう。

それが非常に困難なのは間違いないことです。