爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

投資投資と言うけれど。

いつも多くの話題提供をしてくれるNHK朝の番組ですが、今回はあのアメリカから流れてきて芸人として顔を売りその後は会社経営などに乗り出している人が投資について解説(というか投資への誘い込み)をしていました。

 

日本はまだまだ株式などへの投資比率が低く、貯蓄の比率がかなり高い。

資金は運用して儲けなければという話をしていました。

日本ではこれまでの証券会社の悪いイメージから抜け切れず、株の売り買いの手数料ばかりが取られるという一面も(真実ですが)

 

しかし貯蓄と投資、それほど簡単な話ではないでしょう。

 

貯蓄といってもタンス貯金以外は金融機関に預けているのが普通でしょう。

金融機関はその資金をどうしているのでしょうか。

もちろん、企業などに融資しその金利で稼いでいたのがこれまでの銀行などでした。

それが長年続くゼロ金利マイナス金利政策ですっかり銀行の経営戦略を狂わせてしまいました。

それはともかく、国民が貯蓄した資金は決して銀行に眠っているわけではなく、本来ならばちゃんと企業に融資(投資)されていたはずです。

それをなぜ庶民が直接株式に投資しなければいけないのか。

 

これは資本主義の形というものが大きく変化してしまったからでしょう。

 

物を作って売る、それを流通させる等々の実体経済を担う企業に運営資金を投資し儲かったらそれを分配してもらう。

これが元来の資本主義経済のはずですが、それを置いてきぼりにして儲けを出そうということになった。

株式などの売り買いで儲けようという、実体のないバブル資本主義です。

上述のテレビ番組でもアメリカの株式はリーマンショックで打撃を受けたけれどそこからどんどんと回復したと紹介していました。

これで株式はいったん下がってもいつかは回復すると言いたかったのでしょうが、実際にはアメリカの株式市場が実体経済から遊離し、まるでカジノのようなものになったことを示しているだけです。

 

そこには多くの資金が流入し(その原資は日本の低金利で貸し出されたものも相当入っていたでしょう)賭博場のような株式市場で売り買いの技術だけで儲けを出すということになってしまいました。

 

アベノミクスというのも、この株価つり上げということだけがその主要なものでした。

これが国葬に値する彼の功績だということを国民はどれだけ理解できているのでしょうか。

そのために国民の財産である年金の資金などを大量に株式市場に投入し、株価つり上げを成し遂げ、一見して経済が回復したかのように思わせただけです。

 

今ここで投資投資という声を掛けているのはなぜか。

おそらく株式市場の幻が消え、どんどんと下がり続けているためでしょう。

これでは年金資金すら消えかねない。

そのために貯蓄されている国民の財産を株式投資に回させ、またも株価つり上げを成功させようとしているのではないか。

 

このような実体のない株式市場だけの資本主義経済は今後も何かあれば大打撃を受け大暴落にも至りかねず、その時の国民の被害も大きなものになるでしょう。

危ないものとしては、南海トラフ地震、首都直下地震、富士山噴火、中国の台湾進攻、等々いくらでも目白押しです。

その時に復興に充てるべき国の財政資金が不足するだけでなく、国民の資金すらなくなっていたらどうするつもりなのでしょうか。