爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

脱炭素化の行く末はどうなるのか。

どうも上辺だけの似非「脱炭素化」が多いようですが、もしも本当の意味の脱炭素化、すなわち化石燃料は使用しないという社会になったらどうなるか、そのイメージを作っておきたいと思います。

 

現状では2019年の値で、「電源構成」の中では水力が7.8%、水力以外の太陽光発電などのいわゆる再エネが10.3%と言うことですので、併せて2割弱でしょうか。

この程度の再エネ比率でも現在の景観を見ればあちこちに太陽光発電のパネルが立ち並び、住宅の屋根にもずらりと設置され、さらに山の稜線には風力発電の風車が見られます。

 

これが5倍になると至る所再エネ発電所だらけになる?

 

いやいや、「電源構成」ということは、電力で使用する分だけでその程度ということです。

石油・石炭・天然ガス化石燃料はそれ以外の使用が多いわけです。

石油は言うまでもなく内燃機関燃料、すなわちガソリンなど。

石炭などはボイラー燃料として直接熱発生の用途に使われる方が主でしょう。

 

ただし、どうも一目で見て化石燃料が電力用にどの程度使われているかが分かるといった資料は見られませんでした。

 

電力会社の化石燃料使用量から計算すれば概数は出るかもしれませんが、電力会社以外にも発電用に用いる数量もかなりに上ると考えられます。

そういったデータははっきりと把握できるのでしょうか。

 

まあ、だいたいの印象として、内燃機関燃料用と熱発生用の使用量は電力用よりはかなり多いのではないかと思います。

 

言うまでもなく、「脱炭素化」は電力の供給から化石燃料を排除するだけではありません。

その他の用途の化石燃料使用もすべてストップ、完全に再エネに移行して初めて「脱炭素化を成し遂げた」と言えるはずです。

 

そうなると、再エネ発電装置が現在の5倍程度などでは済むはずもありません。

おそらくその数十倍、桁違いの数量が必要でしょう。

 

この辺はデータをこねくり回すだけが得意な人がすぐに計算できるでしょうが、日本全国の空き地と言う空き地には太陽光発電パネルを敷き詰めるということになるのではと想像します。

 

それだけの太陽光発電パネル、風力発電風車はどこで誰が作るのでしょうか。

相変わらず中国など外国頼み?

彼らが本当にそれらの装置を再エネ由来のエネルギーだけで作るのかどうか、怪しいものです。

しかし日本国内では作ることは不可能です。

なぜなら、「現在の産業構造で使うエネルギーだけ」でもはや国内のすべての空き地は太陽光パネルで埋まってしまうのですから、それ以上エネルギーを使用する産業は増やせないことになります。

 

脱炭素化という言葉ばかりをもてあそぶ人たちはこのような状況をイメージできるのでしょうか。

おそらくそこまでは考えていないでしょう。

「全部を再エネ化なんて極端」だと思っているのは間違いありません。

 

こういった議論は無駄でしょうか。

それなら、とにかく「現状での脱炭素化実施のモデルタウン」を作ってみてください。

太陽光発電風力発電のみをエネルギー源とし、住民が住み産業を動かす。

ただし、「絶対に化石燃料エネルギーを侵入させない」ように監視するものとします。

家庭用の電力をすべて域内に設置した再エネ装置から供給する。

さらに工場や商業施設もそのエネルギーのみを使用する。

なお、発熱用のエネルギーもすべて電力とする、「オール電化」を住宅だけでなく、工場・商業施設にも適用する。

これは見ものです。

まさか「オール電化工場」なんていうものが成り立つなどとは思えませんから。

そして、ある程度の地域でこれが成立して初めて「脱炭素化社会を目指す」なんていうことを言ってください。