爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

水不足になると海水の淡水化をするようになるのか。

地球上にある水の大部分は海水で、淡水というものはわずか2.5%、しかもそのほとんどは極地や氷河の氷であり、人類が使える淡水はさらに少ないものです。

そのため現在の世界人口の40%以上が水不足に苦しんでいるということです。

 

もしも淡水の不足が激しくなった場合、海水を淡水化することで賄えるのかどうか。

この問題について水ジャーナリストと名乗る橋本淳司さんという方が解説していました。

news.yahoo.co.jp

その方法の一つで、かつて中東の産油国などで実際に行われていたのが、海水の蒸留法です。

海水を加熱し出てくる水蒸気を集めれば淡水ができますが、非常に大量の熱量が必要となります。

 

もう一つが逆浸透膜(RO膜)を使って行う膜分離です。

RO膜は海水に含まれる水以外の分子は通さない程度の穴が開けてあり、その膜を通ったものはほぼ純粋な水だけとなります。

現在の淡水化装置の大部分はこのRO膜装置となっています。

 

しかし、これにも弱点があり、蒸留法ほどではないにしてもやはり非常に大量のエネルギーを必要とすること。

そしてもう一つの問題が、膜を通した淡水を使うにしても通らない液は非常に塩濃度の濃くなったブラインという液になり、その処理が難しいそうです。

現在はブラインをそのまま海に放流するところもあり、そこでは塩濃度が上昇してしまいます。

他の処分法もやはり環境悪化になりそうです。

 

いくら水不足となっても、海水の淡水化というものはそれほど大掛かりにできるものではないようです。

橋本さんも今ある淡水をできるだけ大事に使っていくべきだと結んでいます。

 

その通りで、淡水の資源問題は非常に大きいものと思います。

農業でも必要とされるのはすべて淡水であり、これが使いにくくなれば農業生産自体が危うくなります。

これが現代文明の一番のアキレス腱と言えるかもしれません。