人が商品を選び購入するということは日常的に行われていることですが、そこには色々な理由がありそうです。
そういった行動には心理学的なもの、そして行動経済学的なものが隠れていますので、それらを上手く使って行けば「売れ筋商品」を作り出すこともできるかもしれません。
この本は「おもしろ心理学会」と称する匿名のグループがそういった知見を基に購買行動を分析して見せます。
おそらくこういった学術基礎には詳しい人々が書いているとは思いますが、それでも理論の名称(「現在志向バイアス」とか「サンクコスト効果」等々)は紹介するものの、それほど詳しい説明をすることはなく、事例紹介にとどまっているようです。
最近は感染症流行でご無沙汰ですが、「夜の街のネオン」というものがあります。
勤め帰りのサラリーマンなどがついつい引き寄せられるというものですが、そこには「ネオンの色」という秘密がありました。
一見色とりどりのネオンがあるように見えますが、実は多くは「黄色」が基調となっているそうです。
黄色は脳を最も強く刺激する色だと言われており、そのため道路標識でも危険や注意の意味の場合に良く使われます。
これが夜の飲食店には最適だということです。
新聞の折り込みチラシでも「黄色」は効果的に使われます。
現在では多くのチラシはカラー写真で現物の色を見せるものですが、中にスーパーなどの安売りの宣伝で「黄色の一色刷り」が使われることがあります。
他がカラー写真が多いなかで一色刷りということで、かえってインパクトが強いということもあります。
しかし、それ以上に効果があるのが、「黄色は安っぽいイメージがある」ということです。
安っぽいということがかえって「安売りでお得」に通じ、効果的なのだそうです。
なお、「赤色」も人目を引く効果があるのですが、赤は黄色と違ってチープなイメージがないためあまり安売りセールのチラシの色には向いていないそうです。
自動車のディーラーへ行って試乗車を試してから車の購入を考えるという人も多いのでしょうが、その試乗車はたいてい「フル装備」になっています。
これにはディーラー側の戦略があり、フル装備の車を見てから自分が買う車を見ると、装備が少なくがっかり感が強くなり、やっぱりあれもこれも付けたいということになるそうです。
それを断り最低限の装備で済ませるというのはかなり強い意志力が必要のようです。
こういった知識を知っているのと知らないのではやはり購買行動自体に少し違いは出るのでしょう。