年を取るともの忘れがひどくなると言いますが、忘れること自体は若い人たちでもしばしば起きることです。
大事なことがすっと出てこないという経験をすると、がっかりして自己嫌悪に陥るかもしれませんが、そういう時にこの本を読むと、天才、偉人といった人たちでもひどい物忘れをしたということが判って、少しは救いになるかもしれません。
アメリカのライターだというフリードマンさんなので、出てくる偉人たちは日本人にはあまり馴染みのない名前も多いのですが、おそらく「田中角栄さん」だとか、「湯川秀樹さん」といったあちらの人にとってはすぐわかるような有名人なのでしょう。
そんなわけで、辛うじて知っていた人のエピソードをいくつか。
ロンドンフィルの創立者の一人、ビーチャムはロンドンのホテルで立派な身なりの女性に出会い、見覚えがあったので話しかけました。
誰かということが思い出せなかったのですが、そのうちに彼女には兄弟がいたような記憶があり、「ところでお兄様はお元気ですか」と聞きました。
すると彼女は「ええ、元気で今も国王をやっています」と答えました。
彼女は国王ジョージ6世の妹メアリー王女でした。
デンマークの物理学者、ニールス・ボーアは1922年にノーベル賞を受賞したが、若い頃はサッカー選手としても優秀で、デンマークの強豪チームのゴールキーパーでした。
1905年のドイツのチームとの試合でゴールの方にボールが飛んで行ったのですが、ボーアはボールの行方を全く見ておらず、地面に計算式を書いて考えていて、ゴールを許してしまい、それ以降ボーアがナショナルチームに呼ばれる可能性はなくなったそうです。
まあ、大事なところはしっかりしていればあとはどうでも?良いのでしょう。