八代市立博物館で現在開かれている秋季特別展「妙見信仰と八代」というのを見てきました。
ついでに、そのすぐ隣に今年開館した八代市民俗伝統芸能伝承館、愛称「お祭りでんでん館」というのも見てきました。
まず、博物館の「妙見信仰」です。
毎年11月に行われる八代神社例大祭が通称「妙見祭」と呼ばれるように、八代神社も「八代妙見宮」であり、妙見菩薩が古くから信仰されていました。
妙見とは、北極星および北斗七星を指し、それを仏に表した妙見菩薩を信仰するもので、海の守り神とされていました。
それが大陸交易の基地でもあった八代と結びついたのか、早くも奈良時代から妙見という名称が現れています。
今回は八代妙見宮を中心に周辺各地に存在する仏像などを集めた展示となっており、最古の仏像は10世紀と言われる八代市竹原神社所蔵の木造十一面観音菩薩立像でした。
ちょっと細かいですが、これが今回の展示品リストです。
なお、妙見菩薩像などはもともとは八代神社内に並立していた神宮寺に祀られていたものですが、明治初期の廃仏毀釈の際に神宮寺は廃寺となり仏像なども廃棄の危機になったものの、多くの人が守り隠してこれまで保持されてきたそうです。
リストの中で「所蔵者が個人」となっているのは、こういった事情で家に隠して守り通したということのようです。
妙見菩薩像の特徴として、髪を伸ばした蓬髪であること、鎧を着ていること、そして亀蛇に乗っていることの三点が挙げられるそうで、今回展示の仏像や仏画などもほぼその特徴を踏襲しているようでした。
これが、毎年開催されている八代妙見祭の神幸行列の呼び物である「亀蛇の舞」とも直接関わっていることも分かりました。
なお、「海の守り神」である妙見菩薩は、派生して八代平野で広く行われていた「海を干拓して耕地とする」干拓事業の守り神ともなりました。
そのため、干拓地の各所に祀られた神社も妙見宮の系列であったようです。
我が家の近くにある松崎神社も、その一つで、それほど大した神社とは思っていなかったのですが、開基は江戸時代初期、元の名は「松崎妙見社」であったそうです。
博物館のすぐ隣、厚生会館の敷地内に今年7月の開館したのが、八代市民俗伝統芸能伝承館、愛称「お祭りでんでん館」です。
博物館入場すれば近隣のでんでん館に加え松浜軒も割引料金で入場できるということで、その券を貰い行ってみました。
さすがに平日の午前中ともあり、他には誰も客も居ないために係の人がずっと附いて説明してくれました。
展示内容は主に八代神社の妙見祭の神幸行列で、その中でも最も華やかな笠鉾の実物を展示してあります。
現在は本町の「本蝶蕪」と呼ばれるもので、数か月で交替するということです。
神幸行列は何度も見に行っていますが、祭りの当日にはなかなかそばに寄ることもできないため、細かいところは見ることもできないのですが、ここの展示ではじっくりと見ることができます。
20分ごとに神幸行列の様子などを映した映画も上映され、立体的なもので中々の迫力でした。
こういった笠鉾などはこれまでは各町内で倉庫などに保管し、祭りが近づくと出しては組み立てるということでしたが、保管の安全性も増すものと期待されます。
神幸行列は今年も実施されないこととなりましたが、来年こそは再開できればと思います。