これまでの遺伝子操作技術とは異なり、外部からのDNA導入をせずにその生物自体の遺伝子を改変することで有効な変化を起こさせるという、ゲノム編集技術はすでに実用化段階に入っています。
これを使って育成されたGABA高生産性のトマトと、肉厚のマダイがすでに商業化が始まっています。
これに続くものは何か、それについてFOOCOM.NETの専門家コラムで白井洋一さんが解説しています。
それによると、現在製造技術が確立され試験が行われているのが、穂発芽耐性コムギと、ソラニンフリーポテトということです。
穂発芽耐性コムギは、岡山大学と農研機構が行っているもので、収穫前に雨が降った場合に穂に種子がついたまま発芽してしまうことがあるのですが、それを抑えるというものです。
日本のコムギ栽培では収穫時に雨が降ることが多いため、品質劣化の恐れが強いのですが、それが抑制されれば品質向上につながります。
今期に野外栽培試験を始めるそうですが、外来遺伝子は含まれないため規制対象外ではあるものの、栽培試験場所は文科省に届け出たそうです。
ソラニンフリーポテトは、理化学研究所と大阪大学工学部が開発したもので、ジャガイモの芽に含まれ有毒なソラニンを作らせないようにしたものです。
すでに4月に試験栽培が承認されているそうですが、場所は農研機構で行なうということで、この点については白井さんも疑問を呈しています。
自分の所で栽培できるようにしてからやるべきではないかと。
まあ、そうでしょうが、遺伝子技術ばかりに気を取られ、栽培ということは二の次でしょうか。
ゲノム編集技術といえば大きな可能性があるのでしょうが、現時点で応用可能というものは意外に少ないのかもしれません。
ただし、拙速で変なものにまで手を出されるよりは慎重である方が良いのでしょう。