爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「脱炭素化」での最大の問題となりそうな、重機や輸送はどうなるのか。

「リチウム資源は大丈夫か」という話題を取り上げましたが、その中で引用した大久保聡さんの文章の中に象徴的とも言える部分がありました。

鉱山での採掘時や鉱石の輸送時のCO2排出をいかに減らしていくかは、リチウムに限らずほとんどの資源に共通する問題だ。採掘時は大型重機の電動化やその電力の脱炭素を進めていくことになる。鉱石の輸送時の脱炭素も必要だし、輸送を減らすために鉱山近くで精製まで行うことも増えていくだろう。

 

これは先日書いた「EPR関連」の中でも取り上げましたが、現行では主に石油由来の燃料を使っている鉱山などの採掘用重機、輸送用大型トラック、大型輸送船なども同じような問題を抱えているということです。

 

そして当然ながらこれは他の資源でも問題であるはずであり、鉄鉱石やボーキサイトの採掘ではその資源の価格が低いためにより障害が大きくなるでしょう。

 

 

実際の光景は見たことがありませんが、種々の鉱物を採掘する鉱山では超大型とも言うべきブルドーザーなどが使われており、その大きさは驚くばかりです。

こういった重機類が本当に「電動化」できるのか。

電動自動車が徐々に進歩しているように言われていますが、実際にはトラックすら実用化にはまだ高いハードルがあるでしょう。

さらに輸送を行う大型トラックでは出力の問題もさることながら、航続距離が大きな課題となるでしょう。

日本国内での輸送距離でも1000㎞以上はあるでしょうが、アメリカのあの超大型トレーラーで数千㎞を走り抜ける状況が本当に電動化できるのか。

 

もしも無理やり電動化したとしても、その経済的コストは途方もないものになるでしょう。

エネルギーコスト、すなわちエネルギー収支にはそれほど気を使わない多くの人々も、経済的コストには敏感です。

それが数倍程度ならまだしも、これは下手をすると数桁跳ね上がるほどのコストアップになるかもしれません。

結局、こういった産業の上流域では脱炭素などと言う話は無かったこととなり、これまで通り石油をバンバン使って行くことになるのでは。

 

どうやらこのような産業の主要部分では「脱炭素」などということはほとんど実用化もできそうもありません。

 産業のあらゆるところで進んで行きそうに見える「脱炭素化」ですが、どうやら街中をちょこまか走る「街乗り」自動車などだけに留まるのでは。

形だけ進んでいるように見えれば良いのでしょう。