アメリカのバイデン新政権がパリ協定に復帰とか、ますます新エネルギーとやらへの傾斜が強まるようですが、これまでにもそのEPR(エネルギー収支)をきちんと考えることが必須ということを何度も書いてきました。
これはこのような状況だからこそ絶対に必要な事であり、ほとんど見込みのないものにも資金やエネルギーを投入するという無駄をしてはいけないということです。
中世の錬金術師が容易に想起されます。
金を作ると称して王侯貴族から研究費を掠め取った連中は、決して過去のものではありません。
現代の錬金術師が横行しているようです。
今回のテーマは、エネルギー収支を計算していく上で大きな問題となることで、色々な入力エネルギーについて考えているうちに思い当たりました。
特に風力発電装置の建設には大きく関わることですが、他のもので多かれ少なかれ問題となります。
それは、「移動装置、建設装置などの駆動力として石油などの化石燃料を使わなければ大きな損失となる」ということです。
風力発電の巨大な風車は皆さんもご覧になったことがあると思います。
ドン・キホーテが立ち向かった風車などとは比べようもないほどの巨大なものが林立しています。
ああいったものの建設には、あまり「電力」は使われていないのではないでしょうか。
風車がよく立てられている山の上などでは、大型建設機械を使って整地が行われるでしょう。
そこにさらにコンクリートミキサーからコンクリートを流し込み、さらに巨大な風車の羽根(これをなんと「プラスチック」で作っています)を取り付けるわけです。
大型建設機械は今のところ電動のものは少ないでしょう。
石油燃料で走行するものが多いのでしょうが、これが化石燃料ストップとなった暁には電動にしなければいけません。
電動車のエネルギー効率は非常に低く、ただ走るだけの乗用車でも問題となるわけですが、大型重機の場合はさらに悪化するでしょう。
つまり、現在の「風力発電のエネルギー収支(EPR)」はあくまでも石油燃料による建設・輸送を前提としているはずであり、それが電動化した場合はさらに悪化するということになります。
今のEPRでもかなり低いはずであり、それがさらに低下したら実用は困難なのは間違いないことでしょう。
なお、地上設置型の風車よりさらにEPRが低下すると見られる海上設置型の風車の検討が進められていますが、それは何を使ってどうやって作るつもりなのでしょうか。
鉄材やプラスチックを大量に投入して作り上げるつもりなのでしょうが、そういったものはさらにエネルギー収支が悪化するはずです。
前に、「国を挙げてエネルギー収支を精査する仕組みを作る」必要性を論じましたが、世界的に進めなければいけないようです。