爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「せまりくる『天災』とどう向きあうか」鎌田浩毅監修・著

日本列島はその地理的な位置のため、天災というものが特に多い地域です。

プレートが重なり合っているため、地震と火山噴火が集中して起きやすいところです。

また海と大陸の位置関係から大量の雨が降り台風にも襲われます。

 

そういった危険と隣り合わせの状況を、詳しい図やイラストまで入れて分かり易く解説しています。

とはいえ、使われている用語などは科学的な術語そのままですので、子供向けというわけではなく、一応専門外でも大人向けといったところでしょうか。

 

最初は地球の誕生から話が始まっていますので、地震や集中豪雨の話だけ読みたかった人はここは飛ばして読まないと頭が混乱するかもしれません。

 

とはいえ、月ができたジャイアント・インパクトや、プレートテクトニクスだけでなくプルームテクトニクスの分かり易い図まで掲載されていますので、大まかな地球の形成を頭に入れておくには適切な本かもしれません。

 

天災の記述の方では、その原理から実際の被害例の写真までさまざまな情報が写真と図で示されており、頭に入りやすいものでしょう。

 

しかし書いてあることは非常に恐ろしいものばかりです。

 

富士山噴火、首都圏直下型地震、南海プレート大地震など、近い将来襲ってくる可能性が非常に高い天災の被害予想など、そこに住んでいる人にとっては恐怖以外の何物でもないでしょう。

 

富士山噴火など、被害予測の報道が火山灰の降下ばかりに偏っているため、実際には噴石や火砕流、溶岩流、そして長く続くかもしれない泥流の被害など、具体的に危険地帯の図も示されており、その地域の住民も非常に数多いため被害の大きさも大変なものになるでしょう。

 

なお、台風や集中豪雨、竜巻などの紹介はさすがにちょっと鎌田先生の専門外のためかあっさりしたものとの印象でした。

 

なかなか分かり易い本で、見てすぐにイメージが捉えられるものと思います。

 

せまりくる「天災」とどう向きあうか

せまりくる「天災」とどう向きあうか

  • 作者:鎌田浩毅
  • 発売日: 2015/12/17
  • メディア: 単行本