先日起きた福岡での残留農薬が基準越えのシュンギクが発生した事例について、速報はお伝えしましたが、リスク学の永井孝志さんがさらに詳しい解説を書かれていました。
このような件が発生した場合、色々な記事も出ますが内容がでたらめな場合も多いので、もともとの「食品安全委員会の農薬評価書」を参照するのが間違いないということで、その詳しい手法まで載せられています。
そこで「イソキサチオン」を検索していくと、評価の基礎となった数値が掲載されています。
急性参照用量ARfdの決定の過程まで書かれており、その濃度が「0.003㎎/㎏体重」でした。
これを計算するとちょうど「このシュンギク20gを体重60㎏の人が食べた場合」の濃度とぴったりでした。
その濃度は「これを越えなければ影響は無視できる」という意味であり、福岡市当局が発表したように「これを越えたので嘔吐や失禁をすることがある」というのは完全に意味を取り違えていました。
なお、永井さんの記事ではさらに「ARfdを越えたらどういうリスクがあるか」についてまで詳しく解説されています。
このイソキサチオンでは例外的にヒトを使った試験が行われていたということで、安全係数が通例の100ではなく10を使われていました。
ただし、もちろん影響が出るまで投与したわけではありませんので、どういう症状を呈するかは分かりません。
しかし、かなりの高濃度での影響にはなるでしょう。
少しでも越えれば症状が出るということはありそうもないことです。