著者の伊藤さんは、小学校の教員を退職した後に歴史を再度勉強しなおそうと思い立ち、様々な方向から歴史の謎を解明しようと工夫されているということです。
古代には人々の住む平地を囲む山には神秘的なものを感じ、祭りの対象とされていました。
そして、その方向に合わせて宗教的な施設や古墳などを建てていったと見られるそうです。
実際に特徴的な山の頂上と、現在に残る神社、歴史的な遺物などを地図上で結んでみるとピタリと直線になるということが多いということです。
本書前半は、こういった「祭祀ライン」と呼ぶものについて、様々な考証をしていきます。
さらに、現在の遺跡や現存の神社などでは少し外れるということもあるのですが、その理由などを考察といったことをしていき、古代の「祭祀ライン」というものの存在を確かめていきます。
本書後半では、少し趣を変えて、日本書紀と中国や朝鮮の歴史書を見比べ、そこにある矛盾が起きた原因を探っていきます。
近畿に興ったヤマト政権はやはり九州から移動していった者たちの末裔で、九州政権はかなり新しい時代まで残っていたことを立証します。
そして、白村江で百済とともに敗れたのは九州政権であり、その後中国から多数の兵士が進駐してきますが、ヤマト政権は九州政権とは関係ないと主張して中国に取り入り、その後日本国として全国を統一していたとしています。
なかなか説得力のある文章で、そんなことも実際にあったのではと思わせるようなものとなっています。