爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

米中の貿易協定は見せかけだけ、田中宇さんの「国際ニュース解説」より

アメリカと中国の貿易摩擦(というか貿易戦争)の解決のための協議が進み、「米中貿易協定」が一応まとまったということでアメリカ株式市場などではやや安堵が広がっているようですが、田中宇さんの「国際ニュース解説」によれば、これはほとんど実効性もなく、また摩擦が再燃するのは必至だということです。

tanakanews.com

今回の協定で決定した、大豆などのアメリカ産農産品の輸入拡大、アメリカの天然ガス輸入などは、ほとんど実行される可能性はないようです。

中国はアメリカからの大豆輸入がストップしたためにブラジルとの輸入契約を締結しており、それを破棄しない限り大幅なアメリカ産大豆の輸入増は不可能です。

しかも中国でのアフリカ豚コレラ流行のために飼育頭数が減少しており、飼料の必要量も激減しています。

さらに、天然ガスは輸入のためには大規模な設備の拡充が必要であり、それができるまでは輸入増は不可能で、実現するのは数年先の話になります。(やったとしても)

 

さらにアメリカは中国製品への関税を一部しか解除しておらず、ファーウェイの締め出しも全く解除する姿勢を見せません。

中国側もとてもこのような協定で納得できるものではないでしょう。

つまり、この米中協定は一見うまく行っているかのように見せるだけの、トランプの大統領選対策でしかないということです。

 

元々、アメリカと中国の依存関係はアメリカに必要な工業製品を中国に作らせる代わりにその儲けはアメリカの国債などに還流させると言う構造になっていました。

中国がアメリカとの相互依存から抜け出そうとすれば、アメリカの財政が破綻に向かうだけです。

しかし、米中貿易摩擦はトランプが大統領に就任してから一方的に仕掛けたものです。

懲罰的高関税をかけ、中国側の屈服を促しています。

(これはトランプの戦略だというのが田中さんの解釈ですが、私にはどうもそうは思えません)

それがトランプの仕掛けのほとんどを残したままの貿易協定などで解決するはずもありません。

 

いずれ崩壊するのはアメリカ、そしてそれに追随する日本だろうというのが田中宇さんの予測であり、それは5年から10年で顕在化するだろうとしています。

ただし、世間一般はこの予測は受け入れないだろうとも言っています。

中国は、国内の金融バブルを意図的・予防的に潰しており、最終的に金融が全崩壊するのは中国でなく、残念ながら、中銀群がQEをやっている米国や日本の方だ。米中を分割・デカップルしてしばらく置いておくと、そのうち米側が金融バブルの大崩壊を起こして多極化が進む。悲しいけど日本は負け組だ。QE中毒がひどく、もう離脱や軟着陸は不可能だ。中国の優勢と日本の劣勢、米覇権の崩壊がひどくなる。5-10年かけて顕在化していく。みんな日本の自滅話を読みたくないだろうが、これが事実だ。せめて私を中傷して憂さ晴らししてください

最後のところは厳しい話です。

多くの人はこれを信じずに田中さんを「中傷して憂さ晴らし」するのでしょうが、私はこちらの方がよりあり得る話のように感じます。