原発事故を防げた可能性はあったはずなのに防げなかった?元経営陣3名に対する裁判で、予想通り無罪判決が出ました。
www.nikkei.com予見することは難しかったとか、国の機関が出した地震に関する長期評価を信頼性に欠けるなど理由を付けていますが、まあ皆さんの言っているように「不当判決」でしょう。
このような地震や津波に関する新たな知見が近年どんどんと出てきているのに、それに対して目をつぶってしまった電力会社経営陣に責任があるのはもちろん、司法上の責任もあるのは当然でしょう。
前に読んだ下記の本にも、そのような事情が書かれており、「予見できなかった」のではなく「知っていて目をつぶった」というのが真実であるということが良く分かります。
結局は、「自分の任期中に事故が起こらなければよい」とだけ考えていたということでしょう。
何より重い責任は、「きちんとした対応をしなかったために、細々とでも続けられるはずだった原子力発電をやりにくくしてしまった」ことです。
政府側から見ればとんでもないことのはずで、政権や司法が彼らをかばう理由は何もないのでしょうが。
アメリカの刑法では「業務上過失罪」が無いということは日本との大きな差です。
日本では、交通事故や工場運転中の事故といったものでもこの業務上過失罪を問われて有罪となる人たちが多く出てきます。
彼らは、結局は下っ端の運転員に過ぎません。
下っ端に責任を取らせて有罪にしておき、本当に責任のある経営者には及ばないようにする。
「刑は大夫に及ばず」(刑罰は高級官僚には課せられない)という、古代中国の観念がまだ現代日本には生きているのでしょうか。
ただし、古代中国(漢代)では、刑罰を問われないのではなく、それ以前に彼らは自殺するように仕向けられたのですが。