日本テレビ系の日曜朝の番組「所さんの目がてん」は、社会の色々な事柄を科学的に解明ということで長く続いているのですが、今回は「砂防学」ということが取り上げられていました。
(ただし、この公式サイトにはまだ今回の放送内容は載せられていません)
この番組は、その「科学」というものに対する姿勢が真面目で好感が持てます。
「砂防学」とは、土木工学の中の一分野ですが、がけ崩れや土石流といった災害について研究するものです。
しかし、このところ研究者の数が減り続け、大学でこの研究室を持つところも減っているそうです。
水害の被害が増え、特に土砂災害の発生もあちこちにある中、研究者を目指す若者の減少には危機感を持たれているようです。
番組冒頭で、神戸港周辺の六甲山の山の現在の写真と、明治時代の写真が並べて示されましたが、現在は六甲山といえば森林が覆い緑の山というイメージですが、明治時代では山頂までほとんどハゲ山の状態でした。
これは、煮炊き用の薪として多くを採取したためであり、江戸時代から明治にかけては日本の人里近い山では多くがその状況でした。
この状態が、豪雨の場合の山崩れ、土石流の発生にもつながり、被害も多かったそうです。
しかし、薪などの需要もなくなり、山は放置され森林が復活しました。
こうなると、山崩れの発生は抑えられるのですが、逆に山崩れが起きた場合に木材が一緒に流れ下り堤防や橋の破壊につながることもあります。
番組では、山間に多く作られている砂防ダムについても紹介されていました。
こういった事業を進めていくためにも、専門家の養成は必要なのでしょう。
学生や研究者が自分の専門分野を選ぶ場合には、どうしても社会の動きや将来性に左右されます。
その分野で生きていくには仕事の場と収入も考えなければならないのですが、適正な処遇がされるよう願います。
こういった公共的で社会の安全に関する分野はどうしても公的な職場が多くなります。
的はずれなコスト重視で必要な業務ができないといった事態は避けてほしいものです。