爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「はたらく数学 25の『仕事』でわかる数学の本当の使われ方」篠崎菜穂子著

「学校で習う数学なんて社会に出たら何の役にも立たない」と言い張る人が多数居るようです。

著者の篠崎さんは、大学では数学を専攻し卒業後は中高の数学講師をしばらく勤めたものの、その後フリーアナウンサーとなり、多くの人と知り合いました。

その中で、様々な仕事で数学が使われている実態にも触れ、多くの人にとって数学を学ぶ意味というものを強く感じるようになったということです。

 

数学と言っても、単なる四則演算程度のものではなく高校などで習うある程度高等な内容のものが、どのような職業で使われているか、簡単に紹介されています。

 

 

コンビニのレシートには、様々なデータが詰め込まれているのですが、これをPOSデータと呼びます。

どの商品が、いくらで、いつ、どこで、どの客層に、販売されたかということが分かるようになっていますが、これらの情報はすべて本部に集められ、経営や商品構成などの決定のために使われます。

こういった手続きは、数学の「統計」と言う分野の手法を使っています。

多くのデータは単なる数字の羅列に見えますが、それを利用する方法を知るだけで経営の根幹に触れることになります。

 

ケーキ屋さんを経営するパティシエが、もしもいくつかの製品の製造数量を決めなければならないとなった時、「線形計画法」というものを知っていれば無駄な時間を使うこと無く、また売れないものを作ったり売れるものが足らなかったりと言う事態を防ぐことができるかもしれません。

必ずしもすべての事例が線形計画で解決できるわけではないのですが、比較的簡単な考え方で大きな成果が期待されるものです。

 

 

不動産のような、大きな買い物をする時には、住宅ローンを組むということが普通に行われています。

しかし、住宅ローンの金利がどのようにかかってくるのかということは、誰もが知っているとは言えません。

複利による利子の加算というものは、「数列」と言う数学の一分野が関わってきます。

ある一定の原理の元に並んでいる数が数列ですが、一年に何%という利子が翌年には元本と利子を加えたものの何%となる、というのが「等比数列」というものであり、これを理解すれば長年の返済も少しは変わってくるかもしれません。

 

幸いに、人と比べると数学的考え方ができる方だったので、苦労は少なかったのかもしれませんが、この本を見れば普通の人でも数学に関わることが多いのだということがよく分かるかもしれません。

 

はたらく数学

はたらく数学