時々、昔買った本を再読してみるのですが、この本も1995年に第1刷発行と言うことですので、20年以上前の本です。
医者に上手にかかるにはというテーマで、海外での医療にも携わって帰国した高柳さんが日本の医療状況を書いていました。
20年前というと医療事情もかなり今とは違うようで、「インフォームドコンセント」がまだ新しい概念で馴染みがないので紹介しようというものです。
医療費もGDP比率6.8%ということで、アメリカの12%などと比べてもかなり低いという時期でした。
ちなみに、現在はGDP比11%、その後順調に?高騰してきたということが分かります。
当時は、私は今のことのように覚えていますが、医師の地位が非常に高く、医者の言うことには文句を言わずに従うというのが普通だったような時代です。
ガンの本人への告知も20%程度とか。
これはその後劇的に上昇し、2010年頃には90%以上に上がっているはずです。
そういえば、あの「本人には言えませんがご家族に」というのが普通だった時代というのが、ちょっと前だったんだというのが驚くほどです。
もちろん、セカンドオピニオンなどという言葉も使われていません。
著者の高柳さんは、医師就任後少し経った後にクウェートに渡りそこで医師として働いたそうです。
当時のクウェートはイギリス流の医療事情であり、医師と患者の関係も対等に近いというものでした。
それから帰国して日本の病院に入ったら、以前と同じ、医者は肘掛け椅子に座ってふんぞり返り、患者は丸椅子に縮こまって座る状況でした。
それじゃいけないだろうということで、せめて少しは患者側が上手に医者に物を言う言い方を教えましょうというのが本書です。
当時と現在では変わったところもあるかもしれませんが、基本的には変わっていないとも言えます。
その意味では読み返す意味はあったかもしれません。
なお、「痛みの医者への伝え方」は十分に参考になります。
ただ、「痛い痛い」では医者も分かりません。それがどのような部分でどのように痛むかをできるだけ正確に伝えることで、病気の正体がわかるということもあり得るようです。ここは覚えておいた方が良いようです。