生物学や生命現象の中には、数理学的検討を加えるべき分野があるようです。
この本はそういった生命に関しての数理学(数式などでの解析)について、簡単に?説明しているものであり、生物学や生命科学の大学生、大学院生が学ぶ際の教科書として使えるように書かれています。
このような分野では最近はコンピューターシミュレーションの利用が進んでいますが、意外にその基礎となるべき数理学的教育が為されていないということでその用に充てられるようにといことです。
というわけで、かなり高度な内容となっています。
これが、田舎の市立図書館に置かれていたのはかなり場違いな印象を受けます。
このような数理学的解析の対象となる生命現象といってもかなり広い範囲にわたります。
細胞の増殖現象、周期的概日リズム、熱帯魚の縞の形成、樹木の一斉開花、結実現象、性の進化、発癌プロセス等々です。
内容を簡単にまとめるということはとてもできませんので、そちらには触れません。
ただ、このような生命現象に数理解析を施すということは、内容の厳密な評価のためには必要なことなのかもしれませんが、まあ知らなくても大体の理解はできるように思います。
一つだけ、普通の生物学ではあまり触れられないことが、性比の問題でした。
多くの生物では雌雄の比率が1:1であることが多いのですが、実はこれにはあまりはっきりとした理由がないそうです。
交配のためには雄はこれほど必要ではなく、ほんの少し居ればよいのだとか。
それ以外の雄は種としてはムダな資源を使ったことになるはずですが、それにも関わらず多数の雄が存在するのは別の意味がありそうです。
つまり、種の存続のために最適解を取ったわけでは無いということです。
雄はせいぜい1%居ればよいのだとか。それはそれでまた想像力を刺激する世界です。