毎日のようにとまでは言わずとも、おそらく毎週1回はニュースに出てきているアメリカでの銃乱射事件頻発について、賀茂川さんが書いています。
このようなひどい状況でも何もしようとしないのがアメリカ政府ですが、よく言われるような「全米ライフル協会の献金」という問題以外にも、アメリカ社会そのものが持つ危険な体質がその根底にあるということを、賀茂川さんは的確に指摘しています。
それは、トランプやその他の有力者も語っているように「アメリカ人には自衛する権利がある」ということです。
しかし、あのトランプの「高校の教員が銃を持っていれば早く片付いた」という発言には、もう最近ではどんなものを見聞きしてもそれほど怒りを感じなくなってきた自分でも、久々に腹の底からの怒りを感じましたが。
かつて、間違えて住宅に近づいた日本人留学生が射殺されたという事件もありました。
それも、「自衛権」の行使であり、侵入者の脅威を除く正当な権利とされました。
自衛権があるということ自体は間違いではないでしょうが、やはりそこには銃の氾濫が影を落とします。
包丁や金属バットで自衛するだけなら、ここまでひどいことにはならないでしょうから。
しかしさらに、その「自衛権」の意識が国としての行動にも表れているということです。
ストックホルム国際平和研究所のリポートによれば、2016年の世界全体における軍事費総額は1兆6866億ドルで、米国だけで3分の1の6112億ドルを計上している。米国でこれほど多くの銃乱射事件が起きるのも、世界中で米軍が「自衛」という名の下で行っている暴力行為と関係がある。
アメリカが「自衛」の名のもとに行ってきた軍事行動が近代の世界で起きた戦争のかなりの部分を占めているのは間違いないところです。
これまでも何度も書きましたが、このアメリカの「自衛」とリンクする集団的自衛権を認めさせようと一所懸命なのが安倍政権です。
どのような性格のものか、明らかでしょう。
文末に書かれている、デニス・クシニッチさんという元下院議員の方については、まったく知りませんでした。
アメリカに「平和省」という組織を置き、国家間の紛争を平和的に解決するということを説き、大統領選挙にも立候補したが、多くの人からは嘲笑されたということです。
真に優れた人を嘲笑し、銃をぶっ放せば良いという者を大統領とする、アメリカというのはそのような社会なのでしょう。
とはいえ、決してアメリカを見下したり、非難したりできるような日本ではありませんが。