いかにも本屋で手に取らせたいという思惑が強いような題名ですが、中身はかなりその印象とは異なります。
一応、ラーメン屋開業の話というのも導入的に入れてありますが、主題はアメリカのビジネススクールなどで教えられている経営理論、それを勉強すればMBA(経営管理修士)として企業経営に当たることができるというものを、紹介していこうというものです。
著者は名古屋商科大学や横浜市立大学で実践経営学の教鞭をとっている方で、この本の内容もその教育内容の一つの「戦略的店舗経営」の内容をごく簡単に分かりやすく書いたものだということです。
こういったビジネススクールの講義では通常は多くのカタカナ語やアルファベットそのままの用語が飛び交っているのが普通なのですが、これもできるだけ分かりやすい言葉で言い換えています。
たとえばマーケティング分野でも「バイラテラルマーケティング」「ステルスマーケティング」、そして「3C」「4P」「5F」等々、MBAの人々はこういった用語を使いこなして議論をしていますが(ホントかな)これでは素人は怖気づきますのでそれは避けたということです。
話を進めていくために、山田さんという脱サラをしてラーメン店経営を目指す人を描いています。
まず、戦略を考えること。
一人で何から何までやるような小さな店でも、緻密な事業計画を立ててから動かなければいけません。店舗経営の基本は「マーケットを見ること」「投資を回収すること」です。
誰をお客様とするのか。
ラーメンであっても様々な種類、タイプがあります。それによって客層も変わってくるのでどこをターゲットにするのかをはっきりとしなければいけません。
繁盛する仕掛けをつくる。
マーケティングミックスという手法でターゲット消費者に売れる仕組みを作っていくこと。
リピート客を囲い込む。
安定経営にはリピート客の存在が欠かせません。
もしも不満があっても、ほとんどの客は何も言わずに帰って二度と来ません。もしそのような事があればなんとしても早めに掴んで直さなければ閉店へまっしぐらです。
儲かる店舗の数値管理。
客がそこそこ入っていても意外に収益が上がっていないという店舗も多いようです。売上と利益というものをしっかりと整理して正しい数値を認識すること。
損益分岐点分析というものも必要になってきます。
多店舗化を成功させる。
一つの店が成功しても、二店目、三店目と出店していって失敗する経営者が多いようです。
自分自身が店に立って運営できる一店目と違い、誰かに任せなければなりません。
そういった経営という観点から運営できる人でなければ多店舗化はできません。
まあ、このような経営理論を身に着けた人がラーメン店開業などはしないでしょうが、なかなか分かりやすい話になっていました。