以前は農業環境技術研究所の研究者で、現在はフリーで活躍されているという白井洋一さんが、FOOCOM.NET専門家コラムの「農と食との周辺情報」で現在EUで続けられている論争について言及されています。
その大きなポイントは3つ、除草剤グリホサートの問題、殺虫剤ネオニコチノイド、そして新遺伝子育種技術(NBT)です。
グリホサートはすでに長期にわたり使用されている除草剤ですが、認可の更新時期が迫っています。
しかし、2015年にお騒がせ相次ぐ「国際がん研究機関(IARC)」がグリホサートを「おそらく発がん性あり」であると発表したことで論争が起きました。
IARC以外の研究機関はすべてグリホサートの安全性に問題なしと結論づけているのですが、反対派は使用禁止だけを求めており、収まりそうもありません。
ネオニコチノイドは、ミツバチなどの昆虫に悪影響があるとして現在は暫定禁止となっていますが、その実態は実ははっきりと解明されているわけではありません。
暫定禁止といってもその根拠はあいまいのままで、公式レポートも出されていません。
新育種技術は、遺伝子操作を使うものの外来遺伝子は入れず、その生物が持っている遺伝子だけで操作するというものです。
そのため、後から検出することもできないということになります。
この技術も従来の遺伝子操作技術と同様に規制すべきなのかどうか。
ただし、一括りにできるようなものでもなく、多種の技術を議論できるかどうかも問題です。
科学論争だけでなく、それが政治論争とも絡むという、難しい状況のようです。
まあ、科学など初めから敬遠されている日本とは大違いかもしれませんが。