爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「太陽からの光と風」秋岡真樹編著

太陽光発電などに注目が集まっていますが、太陽というものについての知識はそれほど深く行き渡っているとも言えないのではないでしょうか。

 

本書は太陽に関しての様々な方面からの解説が、様々な分野の専門家によって記されています。

ただし、ちょっと詳しすぎて難しいものかもしれません。

理系大学生以上かも。

 

太陽の歴史から記述が始まっています。

さらに、次の地球のエネルギーバランス、温暖化メカニズム、さらに太陽エネルギーと生態系との関係といった部分はこれまでも興味があり知識もあるところですので、まあ聞いたことがあったかもというものでした。

 

しかし、太陽フレア太陽風、そしてそれを地球磁場で守っているということやオーロラとの関係は良く知らなかった分野の話でした。

 

宇宙空間での太陽風の影響は激しいもので、コンピュータが破壊されたり誤動作したりと危険なもののようです。

 

また、太陽自体の構造というものも、ほとんど知らないことが多いものでした。

太陽は水素とヘリウムでできており、その内部では水素が熱核融合反応を起こしています。

中心部では温度が1500万℃、密度が水の150倍、圧力が2000億気圧で、その環境だからこそ水素の熱核融合反応が安定して進んでいるとか。

だから地上での核融合反応なんてうまくいくはずも無いということでしょうか。

 

さらに、中心部で発生したエネルギーもこのような条件ではすぐに外部に放出することができず、周囲のイオンと何度も衝突しながら徐々に外に染み出してくるというイメージなのだそうです。

したがって、現在太陽表面から宇宙に向かって放射されるエネルギーは実際は数万年も前に中心部で発生したものだとか。

 

生体時計という、生物活動がちょうど1日周期になっているように見える現象があります。

これは、たとえ日光が当たらないとしても周期的に動くことから生体内に制御装置があることが分かるのですが、その周期が人間では約25時間と、実際の1日の長さとは異なることが知られています。

 

以前に聞いた話では、これは現在の日周期とは異なり生物発生の頃の周期によるという話だったように記憶しているのですが、実はそうではなく、わざと現実の1日周期の時間の長さと違えることで、毎日の日照で時計の狂いを調整するという作用を必要とし、その結果、そのリズムを守りやすくされているということです。

生物の制御というものの不思議さを感じさせる話です。

 

まあ、太陽光発電を売ろうという人たちもできるだけ勉強して正確な知識を持ってからにしてほしいものです。

 

太陽からの光と風 -意外と知らない?太陽と地球の関係 (知りたい!サイエンス)

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