著者の山田さんは民間の物流会社に勤務、海外経験は相当長そうです。その後大学のビジネス英語等のコースの講師も勤められたとか。
実践的な英語にはかなり長けておられる方のようです。
「和製英語」というものは色々の分野で相当数が見られるということは感覚的には知っていましたが、実際にどれがそれに当たるかということが分かるのはもちろんネイティブスピーカーとの会話が十分にできなければ見当も付きません。
当然、私などは「これは和製英語」と言われたもののみを認識しているだけです。
それにしてもこの本には分野別に300語以上の和製英語というものが取り上げられています。
有名なものは知っていたものも数多くありますが、知らなかったことも出てきます。
分野別で特に多いのは、「車関係」と「スポーツ特に野球」だそうです。
どちらも実質的にアメリカ発祥、日本に入ってきたのが明治末期から戦前にかけてという、まだ国際交流もそれほど盛んではない時期であったということが関係するのでしょうか。
車関係の和製英語では、バック・ミラー、フロントガラス、サイドミラー、サイドブレーキ、エンジンブレーキ、クラクション、アクセル等々、ほとんどの用語は和製英語のようです。
野球でも、ナイターというのは有名ですが、他にもキャッチボール、バッティングピッチャー、シートノック、バックネット、バックスクリーン、オーバースロー、フォアボールなどなど、こちらも同様です。
他の分野でもそこら中に出現してきますが、「カラオケ」は日本発祥であってもすでに英語として世界で通用しているので和製英語としては扱わないそうです。
圧倒的なその数にびっくりしましたが、残念ながら本書はそれら和製英語と本来の単語の羅列に終わってしまったようです。
できればそのような和製英語を連発してしまった日本の風土、日本人の心情まで考察できればもう少し深みのあるものとなったのではないかと思います。
まだ外国人との交流も少なかった時に、アメリカ発祥の事物を表すには日本語ははばかられ、かといって正確な英語も知らないまま知っている単語を当てはめてしまったのでしょう。
まあ、やはり今後の世界ではそのような単語の流通はほとんど害ばかりでしょうから、なるべくは正確な単語を使うほうが良いのでしょう。
ただし、現代でも新たに和製英語が発生しているようにも思えます。どうにかしていかないと増々混乱が広がるかもしれません。