爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

プロ野球統一球の反発係数基準逸脱

普段は野球はほとんど見ないのですが、これでも子供の頃は屋外での遊びは野球くらいしかなかったので一応「野球好き少年」でした。しかし、もろもろの事件ですっかりプロ野球には興味を無くしていたのですが、まあ今回はどうやら品質管理関係の話題なのでちょっと一言。

反発係数というのは別に野球のボールに限った話ではなく一般的な物理の性質だと思いますが、その定義も反射後の速度を反射前の速度で割った数値というだけのようです。実際の装置や試験状況を見たわけでもないのですが、ちょっと考えただけでも相当な誤差が出るような測定であることは想像できます。
それにしては管理基準が0.4034〜0.4234ですか。えらく数字が多いようですがそんなに精密な測定ができるとも思えません。まあどうせ結果は測定数値の割り算なので、割り切れない限りはいくらでも桁数は増やせますので計算機でちゃちゃっとやったものでしょう。

使用球の中から抜き取りで測定とのことですが、その数は統計理論から決定できますので妥当な数字は決められます。しかし、そもそも同じボールを測定した場合にどの程度の誤差が出るかということは分かっているのでしょうか。
これには、その測定が破壊的か非破壊的かにより大きく違ってきますが、もしも非破壊的な検査であれば同じボールを使って何度も試してみれば良いのですがどうもそうでは無いように思います。(同じボールを例えば何百回も測定したら段々と測定結果が変わってきそう)
発表されている測定方法では、速度を何通りか変えてそれぞれ測定するとありますが、これももしも同じボールで速いスピードから遅いものまで測るとすれば速い方から始めるか遅い方から始めるかによっても結果は影響を受けるでしょう。

次に、ボールの製造ロットですが、まったく同じ条件で作られた一群の製品の集団を同一ロットと見なした場合にその中から抜き取り検査をして合格すればそのロット全体が合格とされるわけですが、この前提も大丈夫なのかどうか怪しいものです。製造条件が違うものをあわせた集団から抜き取ったのではいくらやっても有意な結果は出ません。

同一ロットから統計理論に基づいて決められた個数のサンプルを取り抜き取り検査として測定した場合、測定結果は平均値とバラつき度合いを示す値(偏差値)が出てくるはずです。平均値が基準内であっても標準偏差が大きくて基準を超えるものが多く出る可能性が強ければ合格とはしにくいはずです。もちろん、どのような集団でも一定の出現頻度で外れたものが出るのは避けられませんがその許容範囲というのも設定できるはずです。

選手側も「プロ選手は生活がかかっている」と感情論(勘定論)だけでなくこのような測定に関する問題点も適当な助言者からの助言に基づいた発言をするべきだと思うのですが、まあ難しいでしょうか。