爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「宗教常識の嘘」島田裕己著

宗教学者である意味有名な島田裕己さんの一般的な宗教に関する知識の本です。
まあ聞いていた話もありますが、初耳と言う話題もありました。
一神教というのは、ユダヤ教キリスト教イスラム教の現代でも大多数を占める宗教ですが、これはどれも中東の砂漠地帯で発生したと言うことで、そういった風土の中で生まれたと言う必然性があるかのような論説が、(おそらく特に日本だけで)広く流布していました。和辻哲郎の論を筆頭に、現在でも相当力を持っているかもしれません。
しかし、それらを生み出したパレスチナやアラビアと言う地域は決して一神教だけを生み出したわけではなく、むしろ多神教を信じた多数の中で歴史的な偶然でユダヤ人が一神教を生み出したと言うのが著者の指摘です。
また、現在のキリスト教が本当に一神教と言うにふさわしいかどうか、またそれと比べると日本人も一神教と言って良いのではないかなど、的確と言える指摘があれこれとあるようです。
また、国鉄が神社を祀っており、それは現在もJRに引き継がれて存在しているというのも、靖国と同様の意味合いで考えられるというのも知らなかったことで、少し反省です。