多くの宗教では、神は絶対者であるか多神教であるかにかかわらず、「天使」という存在があります。
また、神に対抗する悪の存在も既定されており、それらを「悪魔」として描いています。
そういった天使と悪魔、一つずつ(一人ずつ?)取り上げてざっと説明しています。
なお、構成の都合上か、「西方世界」と「東方世界」にわけて書かれていますが、一般的に言う東方と西方の分け方とは違い、「西方」はキリスト教、「東方」はそれ以外ということなので、東方世界といってもイスラム教、ヒンドゥー教はもとより、東ヨーロッパや北ヨーロッパの神話までそちらに入っています。
とはいえ、やはり「天使」「悪魔」が詳しく語られているのはキリスト教なので、その記述が主となります。
また、イスラム教、ユダヤ教のものはかなりキリスト教と重なりますが、だからと言って省略したりという考慮はしていないようです。
キリスト教の天使、ミカエル、ガブリエル、ラファエルなどというとその名を取った人名も数多いことから聞きなれたものですが、その名の天使がどういうものかということは日本ではあまり気にされていないのではないでしょうか。
ミカエルは四大天使とも大天使とも言われ、しかもその筆頭と見なされています。
その名は「神に似た者」という意味からできているそうです。
ガブリエルは「神の英雄」と言う意味で、ミカエルとならんで「旧約聖書に名が記されている」ものです。
実は、天使として旧約聖書に書かれているのはこの2人だけだそうです。
諸説ありますが、このガブリエルは「女性かもしれない」ということです。
インド、中国世界の天使としては、天使と言っていいのかどうかは迷いますが、帝釈天、毘沙門天、韋駄天などの「天」と称される天部衆を扱っています。
仏教界での尊格としては、如来、菩薩、明王といったものがありますが、すべてが仏と見なされるとも言えますが、その中で天部衆はもともと古代インドの精霊全般が取り入れられたものと言うことなので、まあ西洋の天使と同様に扱っても良いだろうということです。
本書ではゾロアスター教の天使・悪魔というものも扱っています。
ゾロアスター教と言えば古代ペルシアで成立したものですが、そこで説かれる天使や悪魔は実はそれ以前の土着宗教で描かれていたもののようです。
そして、それらはユダヤ教などにも影響を与えていたのかもしれません。
そう考えれば他の宗教で描かれる天使などもそこに起源があるのかも。
ユダヤ教、キリスト教、イスラム教は一神教だと威張っていますが?、天使や悪魔を説いている場面では、どう見ても多神教的性格があるのではと思ってしまいます。
やはり、絶対神一人だけの宗教では面白くなかったのでしょうか。