爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「保守派」全盛の現代、なにを「保ち守ろう」というのか。大変動に備えるには大改革をしなければ存続も危うい。(その3)

「シリーズその3」はつい最近まで注目を集めていた原発問題です。

いつのまにか、まったく話を聞かなくなりました。

忘却力というものがあるとすれば、日本人のその能力は素晴らしいものです。

 

その5

原発依存の回避

①やがてくる激変

福島の危険除去もできないうちに、他の原発の事故が起きる危険性は避けられません。

特に福井県内の原発が爆発事故などを起こせば関西から東海地方に危機が迫り、日本全体の大きなリスクともなるのは間違いないのですが、原発の廃止は経済成長にマイナスとなると言われただけで、もう論議が止まるという状況です。

再生可能エネルギーへの転換ができれば原発廃止も可能となるという主張がされていますが、では再生可能エネルギーがどの程度に伸びれば廃止できるのか、肝心の議論はされません。

ほとんど、真剣な議論もされないままになっています。

「経済成長」はあきらめて、それを受け入れた社会変革をしなければなりません。

事態は緊急な対応を必要としているにもかかわらず、誰もが思考することを止めているかのようです。

 

②それへの対処

まず、原発を止めるということを考え、そこからの事態に対処するという考えですべてを組み立てていかなければなりません。

再生可能エネルギーなどは現状からそれほど増えないということも想定し、さらに化石燃料使用はこれ以上増やさず、逆に減らしていくことも考えに入れなければなりません。

すると、電力の発電構成も2011年の東日本大震災の直前の状況とし、その原発発電分を無いものとして考えていくことになります。

その時には原発依存率は30%以上であったのですが、それをまず0%としてみる。

つまり、電力量をその時点で70%まで下げることを考えます。

そのためには何をしなければならないかを考えていくことになります。

とはいえ、それほど大したことではありません。

2010年の総電力使用量は、約9000億Kwhですが、実はこれはリーマンショックによる世界的な経済不況のために少し落ちていました。

その寸前の2008年が最も多く、約1兆Kwhであったわけです。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2013html/2-1-4.html

これの70%の使用量であった時代といってもそれほど昔であるわけではありません。

7000億Kwhであったのは、2008年のわずか15年ほど前、1994年あたりです。

このときにはすでにバブルははじけ、不況に入っていた時期です。

実は、その後の不況と言われていた時期に電力使用量は伸び続けていたのです。

何が不況だか。

 

とはいえ、その当時の状況に単に戻すと言っても具体的には何をすればよいのか。

やはり高電力使用産業の廃止、家庭での電力使用の制限といった施策は必要になり、今の電力会社のプロパガンダの「オール電化」などとは逆の方向に行くことになります。

 

こういった施策は、本格的な「脱エネルギー社会構築」などといったことまでは不要で、せいぜい「省エネ社会の強化」程度でも十分に可能でしょう。

 

③社会の変化

このように、社会の改変といった影響は少ないにしても、やはり多くの高電力消費産業の存続は難しく、廃業や海外流出が避けられず、多くの人の転職や海外移民が発生するでしょう。

それを受け止める新産業創出が避けられません。

そこまで見通した変革が必要です。

つまり、「原発廃止」と言うことをやり遂げるためには、ここまでの覚悟が必要だということでもあります。

 

まだまだ夢物語は続く。