”厚切りジェイソン”という変な芸名の芸人が居るということは知っていましたが、その著書を見るとなかなか奥の深い人のようです。
本名はJason David Danielson、アメリカミシガン州出身で、イリノイ大学卒、日本に興味を持ち日本語を学び日本勤務を希望して来日、さらに会社も代えて日本での仕事を続けていたのですが、日本語勉強のために芸人を見ていて自分でもやりたくなり、養成所に通いだしたとか。
それでも、IT関係の仕事を辞めるわけでもなく、どちらも本業として続けているそうです。
自身のツイッターに読者から人生相談をされることもあり、それに答えていたものをまとめたのがこの本ということです。
おそらく相談者は若者でしょうし、ジェイソンさんもそのつもりで答えていると思います。
その基本にある彼の人生訓は「一度きりの人生、無駄にしない、他人にどう思われても良い」ということで、典型的なアメリカの上昇志向人種の人のようです。
相談も、新社会人として職場に入ったが周囲と合わないといったものが多いようですが、彼の答えも自分から動く、常に改善を目指す、失敗を怖がらずにチャレンジといったものです。
まあ、こういった人生観に影響を受けてがんばろうとする若者が増えていくのでしょう。
とはいえ、ジェイソンさんの答えの端々にはなかなか見るべきものも数多いようです。
「なぜ、勉強をしなければならないか」という質問に対しては、アメリカで言われている「車輪の再開発」という例をあげて説明してます。
つまり、車輪というものを知らずに乗り物を作ろうとしたら、その初めから苦労してすべてを開発しなければならず、とても個人の一生では足らない。
現在の車輪というものがどういうものかを勉強して身につければすぐに次の段階に進めるということで、非常に的確な説明であると感じます。
「特技が無いがどうすればよい」という質問について、アメリカではこのようなことを問われることはないそうです。
もし、「ジャグリングが特技」と言う人がいたら、「それしかできないの」と思われるのが関の山だそうです。
これについて、「日本は個が立っていないので、なにかで差別化したいという意識の現れか」と分析しています。
「努力は必ず報われるか」という質問に対して、自分が実行したダイエットを説明しています。
非常に科学的なもので、食べたものをすべて計算して摂取カロリーを算出し、運動も消費カロリーを計算し、それを記録して7700Kcal減らせば1kg体重が減るとして管理したそうです。
合理的なダイエットであり、これを実現できるというのは素晴らしい自己管理だと感じました。
なかなか興味深い人物のようです。