爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「内田樹の研究室」より、”韓国のネットメディアからのインタビュー”

内田樹の研究室」、最近少し更新がなかったのですが、ようやく新しい記事が出ました。

韓国のネットメディア「ニューストップ」と言うところからインタビューがあり、それに答えた内容です。

なかなか面白いことを聞き、それに対して内田先生の答えも面白いものでした。

 

韓国のネットメディアからのインタビュー (内田樹の研究室)

 

第1問は、南北首脳会談と共同宣言で安倍政権が主張していた再軍備の必要が無くなるが、これまでの安倍のプロパガンダが受け入れられなくなるのではないかというものです。

 

それに対する答えが「安倍政権を支持しているコアな層(日本の有権者の30%強)は別に合理的根拠に基づいて政権を支持しているわけではありません。
ですから、北朝鮮の「危機」なるものがいくぶんか解消されたとしても、彼らは改憲や軍事力増強が必要であることの根拠はまた別のところから探してくると思います。」

 

ということです。まあそうなるでしょう。

 

2から4問目、日本の右翼勢力についての質問への答えは妥当なものでしょう。

まず、「天皇主義」であるかどうかは、極めて疑わしい。

しかも、外国の軍隊の国内への駐留に対して一切反対をしないという、世界的に見ても例外的な「ナショナリスト」です。

これは、天皇を最高のものとして崇めているのではなく、それ以上のもの「アメリカ」に忠誠を誓っているからです。

厳密な意味ではナショナリストと呼ぶことはできず、それに似た存在はかつての東側諸国の「共産主義者」、ナチス支配下のヨーロッパ諸国の「対独協力者」であるとしています。

 

5問目では、安倍の拉致問題北朝鮮核問題等に対しての姿勢ですが、ニューストップ担当者は彼がこれまでに実際には何一つ実行しようとしなかったということを的確に把握しており、それがここに来てなんとかポーズだけ決めようとしていることも見抜いています。(なかなか鋭いジャーナリストのようです)

内田先生は、この安倍の姿勢は北朝鮮の術中にはまるだけだとしています。

うまく制裁解除や経済支援を引き出されるだけでしょう。

 

6問目も、このネットメディアの担当者の意識が非常に高いことを示しています。

民族主義ナショナリズムと言っていますが、北東アジアではそれは単なる人種主義に過ぎないのではないか。(おそらく日本だけでなく自国の韓国や中国も指しているものと思います)

内田先生の答えもその克服は困難としています。やはり国民国家の内部に確かな共同体を再構築していなかければならないのではと。

 

韓国国内向けのネットメディアでしょうが、これを読んで理解し対応できる人たちが韓国にも居るのであろうと思い、少しだけ希望が持てるものと感じました。