教会やコンサートホールなどに鎮座するパイプオルガン、見ただけで圧倒されるような気がしますが、その演奏を聞くというのはなかなか機会がありません。
オルガン曲というと、バッハの数曲を聞いた程度でほとんど知りませんが、この本は入門ということなので読んでみました。
入門と言う割には難しかった。
かつて、FMラジオでバロック音楽などを流す番組がありましたが、そこで聞いた名前もいくつかでてきました。
しかし、それ以外の初耳の演奏家、曲がほとんどでした。
オルガンの名機も紹介してありましたが、イメージがつかめません。
オルガンにもいくつものタイプが有り、ドイツのものとフランスのものでも相当な差があるそうです。
オルガンはすべてが注文生産であり、同じものは一つも無いそうです。
設置する場所に応じて設計し、演奏する曲目によって構造も変えるということで、そこがはっきりしていないと制作者側も困るようです。
パイプにもいくつもの種類があり、フルー管というリコーダーと同じ原理で発音するパイプもあり、リード管という、真鍮のリードで発音されるパイプもあります。
それらを組み合わせて様々な音色を発するのですが、その合わせ方にも流儀と好みがありバラエティーに富んでいます。
著者の椎名さんはオルガン演奏家として活躍されており、ヨーロッパも訪れ現地で演奏するという経験もされていますが、一つとして同じものがないオルガンは弾いてみなければどのような音が出るか分からず、演奏も下準備が重要だそうです。
特に、音色の調整を念入りに行う必要があり、調整しながら音を聞くというわけにもいかないために、必ずアシスタントと共にリハーサルを行うとか。
音を聞く位置により聞こえ方も違うので観客席にアシスタントを座らせ様々に音色を変えながらどう聞こえるかを試さなければならないようです。
音色の調整はストップという機構を組み合わせておこなうレジストレーションという操作をするそうなのですが、かなり複雑なもののようです。ちょっと読んだだけではよく分かりません。
オルガンが最初に生まれたのは古代ローマ帝国時代だったようですが、現代につながるオルガンの最初は14世紀でした。
その後、各時代にオルガンの名曲というものが誕生しており、それは現代まで続いています。
有名な作曲家ではブクステフーデ、バッハ、ベームといった名前は聞いたことがあります。
その後の時代の、メンデルスゾーンやブラームス、シューマンもオルガン曲を残しているとか。
バッハの少し前の巨匠、ブクステフーデは数多くの弟子を育てました。
彼は自らの引退を前にして、弟子のヘンデル、マッチゾン、バッハらに後継者となることを要請しますが、その条件として彼の娘と結婚することということがあったために、皆に断られてしまったそうです。(よほど、・・・なんだったのか)
ようやく、ヨハン・シーファーデッカーという弟子がそれを飲んで後継者になったとか。
現存の世界の名オルガンの紹介もされています。
日本にも数多くのオルガンが設置されているのですが、地方都市のコンサートホールにも多数あるようです。
多分、かつての「箱物作り行政」でしょうが、きちんと維持され活用されているのか疑問のところです。
まあ、たまにはオルガン曲でも聞いてみますか。