いつものFOOCOM.NETの専門家コラム、長年農薬の分析をされてきた斎藤勲さんが残留農薬の関係で日本産のミカンの輸出がストップした件について書かれています。
TPPの関係もあり、日本産農産物の海外市場向けの輸出の話というのはあちこちで聞きますが、愛知県蒲郡のミカンが台湾へ輸出に際し台湾では認められていない農薬が検出されたとして輸出ストップ、一方愛媛産のミカンは基準に適合したとして輸出が認められたそうです。
農産物輸出を増やそうとして掛け声だけは大きくなっています。
しかし、相手国での残留農薬基準も調べずにどうやって輸出するつもりでしょうか。
他にもこのような事例は今後頻発するかもしれません。
さらに気になるのは記事中にある分析方法の相違。
台湾では柑橘類は残留農薬の分析に「果実全体」を使うということ。つまり皮まで含めた全体を分析するということです。こちらが世界標準。
一方、日本ではミカン類は普通は皮を剥くからということで、皮を取り去った中味だけで分析しているそうです。
昔の農薬は浸透性が悪く、言ってみればいくら掛けても皮だけに残っていて中味には影響が無かったからということのようです。
海外市場、それも富裕層の増加している中国・台湾・香港等への日本産の「高品質」農産物の輸出期待が大きく増加していますが、こういった制度の違いはきちんとクリアしてほしいものです。
(なお、よく言われるような農薬使用上の制限が日本は緩い・海外は厳しいといった条件を無視した単純な話ではありません。各国の状況で使用条件は異なるのが当然で、その事自体が問題なわけではありません。)