私の読む本の大部分は近くの市立図書館で借りてくるものですが、以前に読んだものをまた借りて来てしまうということが時々あります。
去年読んだものをまたということもあり、がっかりしますが、この本も以前に読んだことがありました。
まあ、10年近く前になりますので、よく覚えていなくても仕方ないでしょう。
またさすがにこれくらい時間が経てば自分の読書力にも少しは違いがあるのではと思い、再読を承知の上で読んでみました。
前回の読書記録はこちら。
読後の印象はおそらく前回と同じで、戦国武将の戦い方というものについて、非常に合理的に整理されていると感じました。
上記の前回の読書記録は、まだ書くのを始めてからすぐの頃で、あまり内容を詳述はしていなかったため、どこに感銘を受けたかといったところが少し不鮮明だったかもしれません。
第1章「兵科と軍団構成」はあまり意識されることが少ないように思いますが、これを頭に入れておくとその時代の戦争そのものの理解につながるでしょう。
第2章「合戦の一部始終」も興味深いものです。
通俗的なドラマや映画、小説などのような合戦絵巻だけに止まらず、実際の戦争そのものがどう始まりどう終わるのか、これも真実の姿に近いと思わせます。
第3章「基本戦術」、第4章「各大名の得意戦術」といったところで、ようやく有名な大名たちの戦争というものとつながってきますが、それでも一般的な印象とは異なるものかもしれません。
織田信長は桶狭間の戦いの印象から「奇襲戦」というイメージが強いのですが、どうやら桶狭間の戦いも最近の研究からは「奇襲」とも言えないという姿が見えています。
さらに、その後の信長の戦いでは奇襲らしきものは全く無く、慎重な戦いぶりが見て取れるようです。
さらに秀吉になるとできるだけ直接の戦闘を避け、調略や謀略、戦いとなっても土木工事で兵糧攻め、水攻めなど、配下の兵力の損失を避けるという戦術が主となっていました。
こういった戦国武将の戦術というものの理解は、その後江戸時代になってから軍学者と言われる人々の唱えたイメージで大きく狂わされてしまったようです。
実際の戦争というものの記憶を皆が忘れてしまえば、間違った印象でも疑問を持てなくなったのでしょう。
時代劇の中の戦争もこれに大きく影響を受けていますので、真の姿とは相当違うものになったということなのでしょう。